2008年4月1日に、都留文科大学文学部・社会学科・環境・コミュニティ創造専攻に奉職してから、早いもので8年の歳月が経過しました。多くの戸惑いと試行錯誤の繰り返しが続く日々でしたが、何とか無事に、3月31日をもって定年退職を迎えることができました。これもひとえに、現在まで、ご支援・ご助言をいただきました、多くの方々のお蔭だと感謝しております。
私は、都留文科大学に勤務する前、静岡県庁で35年間在職し、農業基盤整備の計画実施やNPO支援、静岡空港の生活生業対策、静岡県総合計画の策定など、行政の現場最前線で頑張ってきました。その仕事の中で、最も苦労・腐心したのは、多種多様な考え方を持つ住民や企業、専門家、各行政間の「合意形成」の構築でした。
現実社会では、とかく対立しがちな利害者同士を有機的に結び付け、パートナーシップの関係に導く仕事でしたが、多くの成果を残してきた自負を持っています。成功の秘訣は、戦略的なアプローチや強い人間力、臨機応変な行動力と創造的な発想など、従来の役所の画一的な発想や規範を打破していける強い意思と挑戦力が求められました。
まさに、都留文科大学に在職した8年間において、私が、学生に熱き思いで伝え続けてきた教育のポイントは、「現場には社会の真理がある」「現場には人としての生き方を学ぶ多様な知恵がある」でした。
確かに、大学は、人としての専門的な知識や高度な教養を学ぶ「学問の府」としての役割があります。しかし、複雑多岐なしがらみや利害が交錯する現実社会を、自分らしく自立的に生き抜いていくためには、現場での的確な判断力や忍耐力、経験知、専門知に基づいた迅速な行動力や実践力、判断力、決断力が求められます。
私の授業では、「グラウンドワーク三島」が実践している、源兵衛川での草刈りや堆積土の排除、松毛川での河畔林の竹林伐採や植林・清掃活動、三島そばの種まきなどの農業体験、新たなまちづくり計画に関わる市民とのワークショップヘの参加、地域住民との交流などの現場体験を重視してきました。
学生はこれらの現場体験を通して、現場での効率的な作業の段取りや住民との人間的な付き合い方、多様なNPOの現実的な役割などを学びます。また、現場での活動を通して、自分のふるさとへの「愛郷心」や問題意識、関心なども芽生え、地元での就職を考える切っ掛けづくりにもなっています。
その他にも、「就職力・就業力アップ講座」の開講による公務員への就職希望学生の人材育成や面接指導、英国や韓国のスタディツアーに延120人もの学生が参加した海外研修の実施、全国各地の高校での模擬授業の開講、多様な団体に招聘されての富士山学の講演、アメリカ・ニュージーランド・屋久島・白神山地など世界遺産地区への調査、東日本大震災やネパール大地震への支援活動、都留市内湧水地でのバイカモの里・ホタルの里づくりなど、都留文科大学での思い出は尽きません。今後、都留文科大学の学生が、地元や日本、世界を先導していく有能な人材に成長してくれることを願っています。
今後も、都留文科大学特任教授として、出前講義や公務員採用試験対策、地域環境計画ゼミ、地域環境計画、地域協働論、富士山学などの講義を開講しますので、火曜日は大学に行きます。
なお、グラウンドワーク三島の活動は、24年目に入りますが、今後とも、ますます、多様で先進的な市民活動に取り組んでいきます。
さらに新たに、グラウンドワーク三島の関連会社である「(株)パートナーシップ・トラスト」と私の個人会社である「(株)ジャンボ渡辺まちコンサルティング」の代表取締役に就任して、NPOビジネスの世界に果敢に挑戦し、社会的企業家として大いに儲け、高齢者や若者の雇用拡大に貢献したいと意気込んでいます。
皆さまの引き続きのご支援・ご協力をお願いいたします。次なる、新たな人生への船出を区切りとして、ここに感謝の思いとしてまとめました。本当に、お世話になりました。ありがとうございました。
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イギリス&日本・自然環境回復の処方箋~グラウンドワーク~
A story of Genbegawa
2021年8月26日「三島梅花藻の里」の定例整備作業
2021年9月16日「桜川川端」の整備作業
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