リーダーとしての「人間力」とは(後編)

本文章は、リーダーとしての「人間力」について、渡辺事務局長が講演した内容をまとめたものの後編となっています。前編はリーダーとしての「人間力」とは(前編)をご覧ください。

 

 

 

 11 コミュニケーション力―淡々、粛々と、論理的に自分たちの正当性を伝える力

 11番目は、「コミュニケーション力」です。これは今私が、ぺらぺら、チャンポンパンって、喋っているように、喋りゃいいというものじゃないです。喋りの内容に、結構、重量感もあるでしょう…誰も頷いてくれない…(「そんなことないよ」という会場からの声)…ああ、そうですか、ありがとうございます。ここノリがいいですね。素晴らしいですね。会場が半地下なのに。そういうわけで、このコミュニケーション力って大事です。

 人の顔を見ながら、どうやって皆さんが反応してくれているのか、探りながら、正直、喋っているわけでして、何でもかんでも、一方通行で、こっちの言いたいことだけを、だらだら、べらべら、喋れば世の中、通用するというものでもないでしょう。さっきの調整・仲介力も含め、皆さんの反応を見て、そして自分たちの考えていることが、いかに正当性があるかということを淡々、粛々と、論理的に、いかに喋れるかということ。

 そして、その裏付けも必要ということです。「私たちは子供たちを1,000人集めてこんなことをして、こんな素晴らしくなったんです」と言ってきます。「具体的に何が変わったんですか」と聞くと、「いや、子供たちが興奮したんです」「いや、顔色が変わったんです」と。「じゃあ、病気になったんじゃないんですか」と、こちらは言います。顔色って、どう変わったか分からないじゃないですか。「1,000人の子供の内訳を教えて下さい」というと、「ええ? 内訳?」「いやだから、小学校、中学校、どういうことになっているか? 弱者の方、足の悪い方はいらっしゃらないのか?」「え?」みたいな。だんだんだんだん、分からなくなってしまうんです。

 NPOのときも、「指定管理者制度を今度やりたいんですけど…なんとかかんとか」と、どこかのおばちゃんが来て「私たちはこんなに残業してこんなに頑張っているのに、あの市長が分かってくれない」みたいなことを言うわけです。「あーそうですか。そんなに頑張っているなら、申し訳ないですが、半年間の出勤簿を見せてくれますか」と聞いたんです。「え? 何ですか、その出勤簿って?」それでどうして「私たちがこんなに頑張っているのに」と言えるんですか。「いや、だから、何時に出勤して何時に帰ったか…土曜・日曜に出てきた証拠は…出てくればいいってわけじゃないから、何をしたのか? 30分ピッチで業務内容を全部、書いて持って来い」って言ったんです。大変、失礼だったんですが。半年たっても来ませんでした。

 もう、そういうことですから、しっかり、きちっと、根拠もつくりながらやっていく。それをベースに、しつかりとコミュニケーションをして頂きたい。すなわち、言葉を発するということは、信頼を作っていくプロセスですから、おおいに喋べらなきゃだめです。

 私も外ではこんなに喋っていますが、家に帰ると殆んど喋らない。便所に行く、風呂に入る、寝る、焼酎。これだけですから。これで32年間、別れないで来れています。でも外へ行くと、喋りまくりますから。大学に勤務している木曜日は大変忙しいです。講義を3本開講しているんです。1時間半で4.5時間、立って喋って、夜、三島でまた説明会に対応して、一日延べ8時間、喋りまくって、ほとんど疲れないという、このコミュニケーション能力、自分のことを言っては僭越ですが、是非、磨いて頂いて、信頼関係を深めて頂きたいと思います。

 

 12 冗談力―笑いをとって賛同を得る力

 12番目は、「冗談力」というでしょうか。やっぱりたまには、笑いをとって、それで賛同を得ましょう。要するに、間を外すってやつです。緊張感をもって話すと会話も満ちてきますから、そういう時に大事だと思います。

 

 13 忍耐力、消化力―心の整理棚を備えてのしかかってくる重荷を回避する力

 13番目は、「忍耐力」です。それから消化力ともいうんでしょうか。いろんなことで皆さんは重荷を背負わなきゃいけない。家庭の中にも課題もあるでしょうし、働いていればもっとあると思います。辞めたからといって、病気のことやら家族のこと、地域のことが心配でしょう。過労といいますか、神経が、いろいろと疲れると思います。しかし全部、気にしていたら死んでしまいます。ですから、やっぱり、うさを晴らすわけではありませんが、消化して、整理して、違う棚の中に入れて、それが重荷になって自分の心や体にのしかかって来ないようにする。整理するという、そういう力がないと。特にリーダーには、多様な圧力がかかって来るわけですので、是非そういう、「心の整理棚」みたいなものを持って頂きたいと思います。

 これは、誠に失礼な言い方ですが、ご苦労なさらないと多分、分からないと思います。幾ら本を読んだって駄目です。体験こそ力なり。体験こそ大人の学習なりということです。リーダーが逃げたら終わりです。リーダーが背中を向けたら、その一つのチームは、離散・解散・脆弱化しちゃうでしょう。リーダーは申し訳ないですが、風に向かって、飛んで来る矢に向かって進むしかないじゃないですか。

 

 14 思いやりの力、愛情力、共助の力―同じ目線に立つ力

 14番目は、意外と大事でして、思いやりの力、「愛情力」です。ボランティアは共助ですが、共に助けるという意味で、「共助の力」ということになるでしょうか。会議をやっていも「あいつはしょちゅう来ない」「呼んでも来ない」というお話をよく聞きますし、「そういう人はどうしたらいいんですか?」という質問もよく受けます。電話を掛ければいいじゃないですか。それだけのことです。来なきゃたまには何かを持って家に行って来たらどうですか? 何で来ないって、用があるから来ない、何か理由があるから来ないに決まっているじゃないですか。

 もしかしたら嫌われているかもしれないじゃないですか。嫌われているんだから、好きになってもらえるように何か持っていって、おとしまえをつけるしかないじゃないですか。貴方たちは、そんなに人を呼びつけるほど偉いんですか? NPOは、基本的には、横の人間関係でしょう。事務局長であろうと、事務局をやっていようと、活動をやっていようと、皆、同じでしょう。

 これはヒエラルキーの世界じゃありません。役所のように中央集権のトップが、三角形の上に立っているという風に思っては勘違いです。役所の縦割社会を壊した横の社会です。横のネットワークを作ろうというのが、NPOの最大の目的なんですから、それは目線が一緒だということです。

 上から目線ではない「横から目線」。子供がいたら膝を下げて子供と同じ目線になる、車椅子のおばさんがいたら、障害者がいたら膝を下げて同じ目線になるということがNPOにとっての組織・理念です。ただ、ご存知のように組織というものは、それだけでは運営できないことは道理としてお分かりでしょう。機能的な意味では、中央集権的な要素はしょうがないのですが、それだからと言って、俺は事務局長とか、俺は理事長とかなんて言い始めたら、3分で組織は終わりです。もう絶対に悪口を言われますから。悪口が耳に届くようであると、1か月半で組織は瓦解します。

 これは、心の問題ですから、そんなに傷つけて、そんなに偉そうにものをやるような組織は、人間が集まった組織とは言えません。もっと心よく、気が合うというか、そういう人たちで集まればいいんです。仲間同士が、お互いに偉そうなことを言うのは、やめて下さい。本当にやめたほうがいいです。県庁は役所であり、生活も掛かっているから、そういう訳にもいきません。ゆえに県庁の人たちが磨いた、私も35年いて磨いた能力は、「死んだふり力」です。すごく頑張っているからみたいな素晴らしい力を、給与をもらって、ボーナスまでもらって磨いたんです。皆さんも、愛の裏には、死んだふり力を身につけて頂きたいと思います。

 たいした話しをしていませんね。もうメモもとらなくてもいいですから。

 

 15 パフォーマンス力―イベントやシンポジウム、フォーラムを開く力もその一つ

 15番目は、「パフォーマンス力」です。パフォーマンスをたまにはやりましょう。これは、イベントとか、そういうことにもなるでしょうし、シンポジウムとかフォーラム、そういうのもパフォーマンスの一つです。たまには嘘ついて病気にでもなってみたらどうですか、事務局長。病院に入院しちゃえばいいじゃないですか。それで組織がつぶれたら、それだけのものです。急にどこかに行っちゃったりして、急に心の病みたいと嘘をついてみる。誰も来なかったりして。

 それだけにしか認められていなかったということで、しょうがないじゃないですか。深く反省して、酒飲んで、忘れて、また頑張ればいいじゃないですか。こういうパフォーマンスをたまにはやってみたらどうでしょうか。一生懸命、頑張って、頑張って、なんかすり減って、すり減って、後ろを見たらもう女房もいないみたいな。まるでこういうのを、片道切符方式の「ゼロ戦型NPO活動」といいます。やっぱり、ぐるっと回って戻ってきて、3回位、旋回できるくらいやりたい。3回、回っても、センカイって言うんです。こういう感じで、楽しくやって、くださいませ。

 

 16 多様なアプローチ力

 ・ボトムアップ・アプローチ―下から上へのアプローチ

 16番目が、多様な「アプローチ力」です。色んなあの手、この手でアプローチしようということです。例えば、ちょっと固くなりますが、イギリスのグラウンドワークには、2つのアプローチがあります。

 一つは、「ボトムアップ・アプローチ」と言います。ボトムアップとは下から上ということです。今までの社会は、今も一部そうですが、上から目線のアプローチです。上からやろうとすると、必ず失敗します。震災復興事業が、国が先導して、推進されています。これは皆さんの血税を増税して集めたお金で対応するものです。そのお金が、地域を破壊し、景観を破壊し、自然を破壊する。そんなことに使われてしまい、形ができてきたときには、皆さんはもう驚愕の渦です。合意形成もあったもんじゃない。この従来の公共施策の推進方法、上からの目線には私は、大きな懸念を抱いています。大失敗の予感がします。

 イギリスなんか、こんなこと、考えようもありません。下から上です。民主主義の原点は国民の皆様です。主権在民なんです。皆様が神様です。神様の意向も聞かず、仏様だか何だか知らないけど、上から目線でやるなんて。昔、役所のことを「お上」と言っていましたけど、そこから来ているんですかね。お上どこじゃないじゃないですね、役所なんて。

まず、地域から問題を見つけ、地域から問題を提起し、地域からできることをやっていくという意識が大事だということです。

 ・ホリスティック・アプローチ―人の心に入りこむアプローチ

 それからパートナーシップアプローチです。さきほど言った話しです。

 それからもう一つ大事なのは、「ホリスティック・アプローチ」です。この言葉を今、イギリスはものすごく重要視しています。「ホリスティック」とは、包括的とかと言う意味ですが、もう一つは「心」という意味もあります。「ホリスティック」、いわゆる心のケアをやっている人たちがよく使う言葉です。アプローチは人の心に入りこまなければいけないということです。

 要するに、ゴミを捨てるのは、ゴミを捨てても平気だと思う心でしょう。しかし、それをゴミを捨てると気になる心に変えれば、一銭もお金がかからず、ゴミを捨てないし、ゴミを拾う人にもなりえるのです。全く何もお金がかからないです。ホリスティック・アプローチは、人の心に入っていき、心を元気にすれば、お金もかからない。こういうことが、これからアプローチとして必要ではないでしょうか。

 

 17 行動力―現場に落としていく力、現場毎に試行錯誤していく力

 17番目は、「行動力」です。グルグルグルグル無駄な時間を使って、議論ばかりしたって何の意味もないじゃないですか。とにかく、現場に出ましょうということです。そして、とにかく動くこと、そして、走りながら考えようと。やばいなと思ったら逃げようということです。一寸おかしいなと思ったら、止めようということです。いいと思ったら全力で動くということです。

 行動しないと何も見えないということです。何も分からないということです。行動こそ、最大の学習なりということです。部屋の中でいくら勉強したって、これを、社会の中の現場に落とさなけりゃ意味がないわけでしょう。現場に落とすためには、部屋の中の知識では無理です。現場に行ったら、現場ごとに全部、多様性があって違うんだから。アプローチが違うんだから。それは、現場毎に試行錯誤して作っていくしかないということです。

 

 18 現場力―現場でできる力

 18番目は、「現場力」です。現場で何ができるかということです。国会が現場ではありません。被災地が現場ですから。世界が現場ですから。その現場で何ができるかということです。

 

 19 実現力―形地を残す力、身近な小さなことから取り組む

 19番目は、「実現力」です。本当に、それをなし遂げられるかという力です。口ではいくら偉そうなことを言ったところで、本当に何ができるんですかと言うことです。ですから、市民団体の皆さん、皆さんは大きなことに挑戦しては、駄目です。小さくやりましょう。

 自分の身近なことをやりましょう。そして現場で具体的に動いて、小さな形・成果を残してください。ほんの小っちゃな形でいいんです。これは自己満足の領域でいいですから。「私はこんなにやっている」とか「私がやっているからここまでできたのだからやらなけりゃいけない」とか、そんな発言は絶対、止めてください。淡々とやってください。必ず誰が声をかけてくれます。人間がかけなかったら、犬がおしっこをしてくれます。猫が糞をしてくれます。いいじゃないですか。犬でも猫でも、応援してくれりゃ。お母ちゃんは無理だと思いますよ。愛されていないから。いやいや、私の場合を言っているんですが。

 

 20 問題解決力―総合的な力を駆使して問題を解決して行く力

 20番目は、「問題解決力」です。これは重要ですね。問題があって、解決できなければ、あんた止めちゃったら、という話しですから。大げさな話しで申し訳ないですが、問題をどうやって解決するのか。これは多様な力が要ります。色んな経験知も必要です。一人じゃ無理です。行政も大切です。企業の力も大切です。一人一人の力が、より大切です。先ほどの話しに戻りますが、総合的な力を駆使して、問題を解決して行って頂きたいと思います。

 

 21 先験力―先に試す力には柔軟力、創意工夫力、創造力、迅速力、説得力等も含まれる

 21番目は、「先験力」です。「先験」の「験」は実験するの「験」です。とにかく、先にやってください。試行錯誤して「ああやったらいいのかな」「こうやったらいいのかな」というのが富士山のバイオトイレの話でした。私はちょうど10年前に富士山クラブを作り、行政が3億円もかけて、山梨県と静岡県が、「バイオトイレをどうしたらいいか」「し尿をどうしたらいいか」と、ずっと調査していました、その間隙をぬって、富士山クラブで、4200万円集めて、バイオトイレを富士山の頂上に設置したんです。

 これがきっかけとなって、富士山のバイオトイレが一気に設置できるようになったと、勝手に思っているわけです。しかも、今まで誰もやったことがないもの。我々が一番、最初にやりましたから。風速90m、マスナス50度、積雪9mの所にバイオトイレを3年間、置いて来たわけです。しかし、バクテリアは死にませんでした。それを実験した人が、世界にいるというんですか。私しかいないじゃないですか。

 ここに、富士山に60回以上登山した人がいますか。(会場から「いないね」という声)いないでしょう。月にと言ったって年に2カ月しか登れないわけです。7月1日から8月28日が富士吉田の火祭りで閉山するわけですから、この間に15回、登っているわけです。金曜日に仕事が終わったら、車で行って、夜中にライトをつけて登って行き、日曜日の夕方、降りて来て、そして次の朝、県庁に行って静養するんです。金曜日まで。あそこは保養所です。ゆっくりと体力を練って、また金曜日の夜に行くわけです。

 ごめんなさいね、皆さん、大変、失礼しました。というわけで、先験力が大事です。

 だんだん、どうでも、よくなってきちゃいましたが、あとどんどん言うと、この先験力の中には、多様な力として、柔軟力とか、創意工夫力とか、創造力とか、迅速力とか、説得力とか、こういうのが入っていると思います。

 

 22 国際力―国内ばかりじゃなく外国人達と交流して行く力、意識を持つこと

 22番目は、「国際力」です。今や円高も含め、国内は空洞化し、企業はどんどん海外に出ていっています。実はつい先週、私は台湾に1週間行ってきました。台湾の大学に呼ばれて。台湾大学と始まって、台中、台南、高雄の大学で講演して参りました。

 夜は地元の方、NPOの方、数百団体の方とお話をして参りました。台湾は20年ぶりでしたが、一番、驚いたのは、学生がほとんど、英語がぺらぺらということです。授業の7割、8割は英語でやっています。それから日本語も、ベトナム語、フランス語、スペイン語もぺらぺら。第3外国語という形で。私も今、大学で、教えさせて頂いていますが、完璧に抜かれました。日本の若者は、世界というフィールドで戦えますかね。

 NPOも世界に出て行きましょう。NGOとして。アフリカでバイオトイレを売ろうと思っています。中国でも売っていこうと思っています。私たちも海外に出て行こうと思います。我々も、市民団体も、国内ばかりじゃなくて、向うの人を連れてきたり、向うに行ったり、向うの人達と交流して行く、そういう力、意識です。意識が大事だということです。すぐに行きなさいとい言っているわけじゃないですけど、世界を見て、先ほどの情報収集能力も含めて、リーダーであるならば大きな心を、地域というだけではなくて、視点や感性として、情報収集の範囲として、世界を目指していくこと。今、世界のNPOがどういう動きをしているのかを知ること。幻の法律と言われたトラスト法という法律が韓国で3年前にできたんです。1円寄付しても、財産を寄付しても、猫を寄付しても、すべて税制で優遇されます。

 もう日本を捨てて海外に行きましょう。とりあえず、意識だけでも。皆さんは、最後は死んで風になるのですから。偏西風で世界をぐるぐると回るから同じようなものです。生きているうちから、風になって世界中を飛び回りましょう。

 

 23 マネジメント力―経営力とリスク対応力

 23番目が、「マネジメント力」です。これは大事です。経営力です。経営ってなんですか。このマネジメントって、どうやって人を動かすかです。どうやってものを動かすかです。どうやってお金を確保するかです。どうやって楽しい事業を作れるかです。どうやって作ったものを維持管理できるかです。

 そしてリスク管理です。幸せなことばかりが続くわけじゃないですから、色んな事件、事故が起きた時に、どう対応するのかというシミュレーションを作れますか、ということです。そればかりではありませんが、マネジメント力を身につけて頂きたいと思います。

 

 24 ビジネス力

 ・稼ぐ力、人材を活用する力、雇用を生み出す力

 24番目は、「ビジネス力」です。私は今回、NPOの人材育成事業として、内閣府から10億円をいただきました。お陰さまで2400人、実は応募が4000人近くきまして、1000人キャンセル待ちという、とてつもない研修になったわけです。全国から4泊5日で三島に研修に来ていただきました。そして100人の方に開業していただき、1億円を渡しました。事業としては大成功ということになったわけです。

 そこで言っていたのが「NPOでベンツに乗ろう」ということ、「NPOで大金持ちになろう」ということです。NPOは会社です。市民会社です。ですから、がんがんと稼いで、がんがんと税金や法人税、消費税を払いましょう。そして雇用を生み出しましょう。そういう意識を持って頂きたいと思います。

 イギリスは、NPO・社会的企業で700万人が働いています。この領域・階層を「中間労働市場」と呼びます。半分以上が女性の職場です。そして約50万のボランタリーセクターが、ここに存在しているんです。約5千億のお金が資金として動いています。こういう新しい労働市場を作らないと…。若者、女性、高齢者などの雇用は生まれません。

 日本は、人材という、日本国にとっての最大の資源を無駄にしている国です。人こそ国の礎です。人を大切にできない、人を活用できない国に成り下がっています。「歳をとったら皆、保障する」「社会保険でお金を貰う人」みたいな、そんなイメージを持っています。こんな失礼なことは、私はないと思います。お年寄りでも化粧を厚めにして、シワを隠して、幸せなふうにして、そして、お店に出て、戦って、ものを売って、稼いで、年金を返しましょう。生産性を生みだしましょう。皆、病気になる暇がない、死ぬ暇もない。生きて行くしかないですよ。そういう人材なんです。資源なんです。そういう風にみればいいものを、「手当だ」「保障だ」「皆、施す」みたいなことを言います。「あんた、それ、全部、借金と増税でしょう」というふうに思いませんか。僕は、国の施策の迷走と混乱が始まっているような気がします。

 ・自分たちでビジネスを起こす力―事例の紹介

 先ほど、自立と言ったように、自分たちでビジネスを起こしてください。一つ、プランを言います。私たちが今、何をやっているか。5ヘクタールの竹林を持っています。グラウンドワークの森ということで、間伐は全くしていません。是非、来てください。素晴らしい竹林です。何故だか、わかりますか。4月になったら出てくる筍を片っ端から抜いているんです。20日間行けばいいんです。後は終り、間伐する必要はないから。全部出すから間伐するんです。全部、ほじくって、湯がいて、スーパーで350円で売っています。あれは宝の山です。なんでやらないんですか。

 なんで屑野菜を買ってこないんですか。貰ってこないんですか。三島の箱根で、人参を掘り起こしたら皆、傷ついて、百姓は3分の2位、畑に捨てているんです。それをうちが4時半に箱を持って後ろからついて歩くんです。屑野菜と言って怒られたから規格外野菜と言って売っていますが、売れます。今、1日2万円程度売っています。皆さん、やりませんか。屑野菜ですよ。要らないんですよ。捨てられてしまうのですよ。知恵を出して、資源・商品として有効活用しましょうよ。

 もうちょっと頭を使えば、耕作放棄地だって宝の山。竹林も宝の山。皆、宝の山です。若い人には言わなくていいから。働かせておけばいいから。年寄がそおっと、散歩のふりをして、犬を連れて行って筍を掘って、それを、お店に売って、それでハワイに行きましょう。

 

 25 決断力

 25番目は、「決断力」です。リーダーとしての最大の仕事は、最終的な物事の方向性、是非を決める決断力・判断力の有無です。多様な活動に取り組めば、取り組むほど、諸般の問題が発生します。実施が適切なのか、修正・中止・撤退が、適切なのかを、多角的な情報を集め、関係者との議論・協議を含めて、的確・適切な指針をだし、最終決定を行い、全責任を担うのが、リーダーの役割だと思います。

 リーダーとは、責任ばかりが大きくて、割にあいませんね。皆さん、こんなつらい立場を喜んで担う人がいますか。多分、やめた方がいいですよ。ボランティアとして、お気軽に活動に参加している方が、プレツシャーも受けず、精神的にも疲れませんよ。

 しかし、世の中、常に「光と影」が存在します。新聞やテレビに出て、一見華やかに見え、何の心配もなく、絶好調で物事を処理しているような「光」の部分の裏には、人には言えない苦労や重圧が内在していると思います。この事実が、「影」の部分といえます。この影を恐れて、いろいろなことから逃げても、問題は解決しませんし、建設的なことにはならないと思います。リーダーは、もしかしたら、「鈍感性」が必要とされ、さらなる裏に、敏感な「感受性」も求められるのかもしれません。

 それでは、私が、何故、20年間も一定の責任がかかる事務局長を担ってきたのでしょうか。それは、やはり、自分の夢や意思が、多くの人々との協働関係により、確実に実現できることです。多くの試行錯誤と不安、戸惑いを乗り越え、課題解決の後には、事実関係・成果が現場に残り、確実に地域や環境が再生、復活できたとの達成感、充実感を味わえることが、原動力・推進力になっています。

 多様な苦労や困難を乗り越え、経験知として蓄積していくことの連続性の中から、リーダーとしての資質は、研磨されていきます。とにかく、組織の基盤として、何事にも耐えていくのが、リーダーだと考えています。まさに、NPOやボランティアの世界は、人生修行の道場ではないかと思います。何事にも逃げず、戦えとはいいませんが、いい加減に、お気軽に、ひたすら、前を向いて前進しかないのかもしれません。成長とチャンスは、自分から挑まないと、何も始まらないと思います。因果な立場と役割ですが、頑張りましょう。

 

 番外地 パッション、アクション、ミッション、人間力

 ・3つのションを持って自分の地域を作りなおしていただきたい

 最後になりますが、僕は何時も3つの言葉を言っています。パッション、情熱です。それからアクション、行動。それからミッション、理念。パッション、アクション、ミッション。この3つのションを皆さん…頭の中に入れておいてください。

 とにかく地域は皆様のものです。地域とは皆さんの財産なんです。そしてこの財産は宝です。宝は繋いでいかなければいけないものです。ですから皆さんは、その礎であり、肥料です。皆様方が日本の高度成長を作り、ある意味、豊かな地域にしてきた恩人です。立役者でもあります。しかし一方では、高齢化が進み、そして地域が疲弊し、そして若者がいなくなり、そして自然も荒れてしまってという、原因者にもなっているわけです。

 そういう意味では、もう一回、死ぬまで奮い立って頂いて、自分の地域を作り直していただき、あるいは守り直していただき、伝えていくという仕事にいよいよ取りかかっていただきたい。皆さんが、こうやって生きていけるのは、祖先があってこそのことなんじゃないでしょうか。そういう人間としての基本的な義務を、いよいよ原点に戻って、粛々とやれる範囲でやっていくということではないかと考えております。生意気な話を大分いたしましたが、どの程度、参考になったか、住みよい地域とは、そういうことではないかと思います。

 ・人間力 多くの人が寄り添って社会を支えて行く力

 あとは、「人間力」です。人という字は忍耐の字だと思うんです。よく見てください。大きな棒を小さな棒が支えています。これ、ひどいじゃないですか。大きな人が小さい人を支えればいいのに、小さい人が大きな人を支えているんです。

 というわけで、世の中というのは、道理に反したことが多いと思うんです。ゆえに、小さい人を、多くの人が、小さい人が寄り添って、そして、心という支援、あるいは行動という支援、色々な支援の仕方があると思いますが、支え合って社会を作っていく、これこそが本当の意味の豊かな社会、国家というものではないかという気がいたします。

 日本は、民主党さんに代わって、いわゆる「恵む」という手当、保障、なんでも来い、なんでもオッケーとなりましたが、その裏で、全て消費税あり、増税すると、非生産的な繰り返しです。これは生産性というものが完全に崩れて、循環が起きていないので、必ず破たんします。皆さん方に、大きなしっぺ返しが必ず帰ってくると私は思います。

 ですから、そういうことに気がついた皆さんですから、この気づきを、行動によって具現化していただきたい。そして、次世代に伝えて行っていただきたい。さらに、地域の中で、おおいなるリーダーになっていただいて、静岡県を盛り立てていただきたいと期待しております。

 他の県なんかどうでもいいんです。とりあえず三島が良くなりゃいいんですから。皆さんが良くなりゃいいんですから。これが愛知県に行くと「愛知県が良くなりゃいい」「静岡県はどうでもいい」なんて言っているだけなんですが、でもまあ、素敵な県・地域ですので、頑張って、皆さんの力で、地域を盛り立てていっていただければと思います。

2012/2/27 0:00 ( メイン )
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