グラウンドワーク三島は、２０年間以上にわたり、多くの人々のご支援・ご協力を得て、富士山の環境再生活動に取り組んできました。１９９３年には、富士山を「世界自然遺産」に登録するための署名運動に参加したり、清掃活動や植林活動などにも取り組んできました。また、２０００年からは、富士山五合目と山頂に杉チップを活用した「環境バイオトイレ」の設置を技術的・工事的・専門的に支え長年の課題だった、し尿垂れ流し問題の具体的な処方箋・解決策をＮＰＯとして国内外に発信することができました。
 

　その後も、挫折した世界自然遺産の経験知を生かし、富士山の信仰・芸術・景観を重視した、世界文化遺産登録への道筋を創ることに多くの人々のご理解とご協力を受け、地道な側面的な活動を続けてきました。
 

　富士山の世界文化遺産登録は登録が目的の運動ではありません。登録されることは未来永劫、富士山を守り・伝えていく開発抑止への「覚悟の証」であり、日本人の環境と開発の「共生の知恵」が世界基準により評価されることです。
 

　私は、今回、カンボジアの首都プノンペンで開催された「第３７回世界遺産委員会」にオブザーバーとして参加し、富士山の世界文化遺産登録の瞬間に立ち会いました。長年の夢が現実化した感動的な瞬間を体験してきました。しかし、今後のオーバーユース（過剰使用）が引き起こす環境被害の拡大に対する責任の重さも強く感じました。
 

　今後とも、グラウンドワーク三島は、一元管理を行う「富士山庁」の創設や富士山全体を包括的に抑止する法律となる「富士山立法」の成立、持続的に富士山の環境と安全を守るための「富士山基金」の造成、イコモスの勧告内容に答えられる「富士山再生プラン」の策定など、「包括的管理計画」の策定・実現を目指して、先導的な市民活動を展開していきます。

　登録前の事前対策が不充分なため、入山料徴収など急場しのぎの対策では、登録後に激増が予測される登山者の「命」を守ることはできません。市民力の創意工夫と創造力・行動力によって、「満身創痍」の危険性を内在する、世界の宝物・富士山を守っていきましょう。
 

特定非営利活動法人グラウンドワーク三島

専務理事　渡辺　豊博

 （第３７回世界遺産委員会会場にて）

★祝　富士山世界文化遺産登録記念ＣＤ「富士山だ」発売中

作詞：阿久　悠

作曲：加藤　登紀子

うた：ムーン・リバー・ウォーカーズ（若生りえ&るいるい）

価格：1,200円（税込）

販売場所：グラウンドワーク三島事務局、三島街中カフェ1号店、三島街中カフェ3号店「せせらぎ源兵衛」

⇒詳細はこちら（2013年2月19日静岡新聞：「富士山だ」に軽快な踊り）

★富士山世界文化遺産登録記念講演会

　　「富士山の世界文化遺産登録をめぐる光と影」

　日時：平成25年6月29日（土）16:40〜17:40

　場所：Via701・1階ホール

　⇒詳細はこちら