メッセージ

 グラウンドワーク三島の活動開始のきっかけは、「水の都・三島」の水辺自然環境の危機的状態だ。故郷の原風景が傷つき、荒れ果て、水を愛した三島市民が水辺環境再生への意欲や行動を失いかけている切迫した状況が、活動開始の原動力・起爆力とあって市民有志が立ち上がった。

 
街は誰のものか、街の本質的な価値とは何か、市民の役割とは何か、そして、次世代に残せる街の宝物とは何かなど、街をこよなく愛する各界各層の市民が大いに議論し、様々な解決への処方箋を検討した。三島の活動の特徴は、議論や提案だけに終わらず、この議論を実現化するために行動を起こし、成果を残すことを信条として、具体的な活動を推進したことにある。
 
その手法は、イギリスで成功していた先進的な街づくり・環境づくりの手法「グラウンドワーク」を導入するなど、戦略的・先駆的であった。その後、「水の都・三島」を再生・復活していこうとする新たなる街づくり戦略とそれを実現するためのマネジメントを立案し、試行錯誤を繰り返しながら着実に実践・具現化していったのだ。
 
「グラウンドワーク」とは、「住民アクション・パートナーシップ・環境創造」がキーワードだ。「市民一人一人が街づくりの主役である」「皆でやれば怖くない」の精神のもと、地域住民の自立と自律への意識改革と団体同士のネットワークの力をベースに地域単位で発生する身近な環境問題に地域総参加で取り組むものである。
 
合言葉は、「右手にスコップ・左手に缶ビール」「議論よりアクション」「走りながら考える」だ。必要論や総論に時間を浪費するのではなく、ある程度の活動の方向性が決まったら、即刻現場に出掛けていって課題解決に取り組む。様々な利害者の思惑を調整し、一体化した母集団を形成して、それぞれの得意技を出し合った有機的な結合体に組織編制していくのだ。作業終了後は、飲食の場が、活動の反省とともに街づくりへの思いや考え方を語り合う「夢舞台」となる。この場での会話や交流の中から、次の活動へのアイデアや意思疎通が図られ、パートナー同士の相互理解が進み、信頼性と事業の進化が生まれていくことになる。
 
難しい議論や高邁な総論よりも、地域に起きている小さな課題に大して真摯に向かい合い、その課題解決に市民・NPO・行政・企業とのパートナーシップの体制を創り上げ、多くの時間をかけて解決の道筋を見つけ出すことで、「小さな実績と成果」を残していくことだ。
 
グラウンドワーク三島の手法は、複雑に絡む様々な問題の糸をほどき、利害者間の合意形成を調整・仲介する専門性をもつ「中間支援型NPO」として、日本のNPOの中でも先駆的で創造的な市民活動を実践してきたと思う。
 
様々な職種と立場のボランティアスタッフが集まり、身近な生活現場で発生した地域問題に対して、それぞれの専門性と得意技を発揮して取り組む。効率的な課題解決に向けて、地域情報の収集・整理・分析・評価を行い、解決のための処方箋・方向性を見出していくのだ。
 
さらに、問題を抱えた地域に居住するスタッフが、プロジェクトリーダーやメンバーとなり、問題解決のための「戦略・アクションプラン」を立案する。この過程には、スタッフ同士の徹底的な議論と多くの検討時間をかけ、活動内容の質の向上と戦略・戦術の強靭性や多様性・汎用性を整えていく。多くの関係者との議論と問題提起のプロセスにより、様々な視点でのアイデアや創意工夫が生まれ、併せ、お互い同士が問題を共有しているとの仲間意識の醸成につながっていくのだ。この「人間同士の信頼のネットワーク」が、組織の基盤強化と連動し、持続力と発展性を担保していく潜在力になっていると思う。
 
限りない地道な実績の蓄積と活動の継続性を通しての「パートナーシップ」、活動を支える人々の「パッション」、活動の将来像を示す明確な「ミッション」、創造的で楽しい「アクション」など、グラウンドワーク三島の活動はスリルとサスペンスにあふれた「NPOの夢舞台」といえる。
2010/9/21 19:08 ( 渡辺豊博/Dr. Watanabe )
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2021年8月26日「三島梅花藻の里」の定例整備作業

 

2021年9月16日「桜川川端」の整備作業

 

2021年8月28日「鎧坂ミニ公園」の整備作業

 

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