【被災地の状況】
未曾有の惨状をもたらした東日本大震災からまもなく5か月が経ちます。震災直後から街や道路を埋め尽くしたがれきは撤去され、ライフラインの復旧も進み、避難所で生活する人たちも徐々に減っていて、仮設住宅団地では生活再建に向け被災者が生活を始めています。
ただ、その一方で、石巻市だけで多くの人が死亡、行方不明になっている状況で、沿岸部などでは今も警察や消防による不明者の捜索活動は続いています。
家族や友人をなくした心の傷のケアが今後の課題になるでしょう。グラウンドワーク三島では何度も石巻に足を運ぶ中で、震災から時間が経ち、物理的な面での復旧や復興は目に見えるようになってきましたが、大切な人を失った人たちの心の面での復興をするには途方もなく道のりであることに心が痛みます。
グラウンドワーク三島は発災後の早い段階から被災地の子どもたちの心を元気にすることを狙いに、静岡県東部地方にご招待するショートツアーなどを展開してきました。現在では、この動きに呼応するように全国各地の団体が同様の活動を展開しているようです。
心の震災復興には長い時間を要します。今後も、私たちをはじめとして多くの団体が、これらの支援に継続的に取り組んでいくことが必要だと考えます。
石巻市の指定避難所となっている市立小学校体育館を訪ねました。ショートツアーに参加した人たちの暮らしぶりをつぶさに確認したかったからです。ピーク時には約800人(教室も含む)が避難し、今もおよそ80人が身を寄せるといいます。話を聞いた人たちはいずれも、第6回心を元気にするショートツアーへの参加者。
「温かいものが食べたい」震災があった3月11日からずっとここで避難生活を送る70歳代の男性はこう話しました。食事は朝がパン、昼が冷たいおにぎり、夜が弁当と、毎日同じ献立がそれぞれ配られるといいます。
しかし、それでも震災直後からはだいぶ改善され、「最初のころは少ない食べ物をみんなで分け合って食べていました」とこの男性。同じく避難生活を送る80歳代の女性も「食べ物はほとんどなかったですね」と振り返っていました。その後はしばらく、菓子パンとおにぎりだけの食事が多くなり、数ヶ月前から夕食に弁当が出されたものの、「揚げ物が多い、野菜が少ない」などと栄養の偏りや健康面を心配する声も多く挙がっていました。
苦労は食事だけではないようです。避難所内は暑く、ハエなどの衛生害虫が飛び回るなどあまり衛生的とはいえない環境。さらに夜は暑いため、窓や出入り口の扉を開けっ放しの状態で皆、眠るため、蚊に刺されることも多いといいます。家が全壊し避難している女性は「顔を何度も(蚊に)刺され、殴られたように腫れました」と苦労を話してくれました。
さらに、不特定多数の人たちが同じ空間にいることでいざこざも時折、起きるといいます。8月末で解散と発表されていますが、8月初旬現在も避難所生活を強いられている人たちは3千人にのぼります。
食事、衛生面、心理的にも負担を強いられる不自由な避難所生活。被災地・東北の暑さはこれからが本番です。風呂や温かい食事を提供し続けた自衛隊が7月末で撤収されました。被災地と被災者が一日も早く再建するために仮設住宅への入居と、人と人とのつながりを感じられる地域コミュニティー作りが急務だと感じました。
また、津波の被害を受けたものの、かろうじて自宅の2階で生活をされている、ショートツアー参加者の方の自宅を訪ねました。大きな瓦礫は撤去されたものの、陥没して砂利がむき出しになった道路や、倒れたままの街灯は手つかずのまま。おかげでその地域は、非常に暗く気味の悪い雰囲気となってしまっていて、1階がすべて流されてしまったため、お弁当の配給を受ける大変不便な生活でした。この地域の人たちの今後の生活はどのようになるのでしょうか。
【川開き祭り】
石巻市の夏を彩る祭典「石巻川開き祭り」が7月31、8月1日の2日間にわたって、石巻市内中心部で開かれました。今年の祭典は東日本大震災で犠牲になった人たちの鎮魂などがテーマ。燈篭(とうろう)流しや花火大会などで犠牲者の霊を慰めたほか、ふるさと再生への願いを込めて行われました。
祭り初日の31日は燈篭流しが行われ、遺族らが犠牲者の名前を書いた燈篭を旧北上川に浮かべ、物故者を悼んだ。1日には、陸上パレードと花火大会がそれぞれ開催されました。
パレードでは地元の小中学生による伝統芸能や吹奏楽演奏、「東京ディズニーリゾート・スペシャルパレード」などが行われ、ディズニーのパレードには、ミッキーマウスとミニーマウスたちが登場し、市中心部を行進。沿道に詰め掛けた人たちに手を振るなどして市民を喜ばせていました。津波の被害を受け、シャッターが下りたまま、信号機が消えたまま、道が陥没したままの市中心部商店街が、今日だけは大勢の人と笑顔でにぎわいました。
この日の夜に行われ花火大会では約4500発の大輪の花火が夜空を焦がしました。大会に先立ち会場では震災犠牲者に対し黙祷が行われ、見物客たちは多くの人が亡くなった海や川に向かって心静かに手を合わせていました。
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2024年11月18日「能登半島被災地支援・ショートツアー参加者にゆめみしまをお届け」「富士山『登山』方式断念へ」の記事を掲載
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