清流でしか育たない希少植物であるバイカモの保全活動は、ここ三島だけでなく、国内では山形市や都留市、忍野村などでも進められています。またお隣の韓国・江華島でバイカモ保全に取り組む「韓国ナショナルトラスト」と当会は、2003年に「日韓バイカモ市民交流」を開始し、以後日韓両国のバイカモ保全実践地区で4回に渡ってサミットを開催してきました。
前回のサミットから7年が経過し、各保全団体の知見の蓄積もある中、2月24日、GW三島設立25周年記念事業として、第5回「日韓バイカモ保全国際交流サミット」を開催しました。
午前中は日韓両国からのサミット参加者、一般参加者含め、GW三島の各実践地を見学しました。
中郷温水池を経て松毛川、境川・清住緑地を当会、越沼理事の案内で回り、バイカモの里、そして源兵衛川を歩きました。
かつて鱒養殖場だった池をバイカモ繁殖地にして、宅地開発が進行していた場所を官民一体の協力で公園として整備した経緯を、ボランティアガイドの山口さんが熱心に説明し、参加者は聞き入っていました。
源兵衛川のバイカモです。きれいな水であること、通年で水温が一定していること、川床が砂地であること等、バイカモの生息条件は厳しく、少しの環境変化で溶けてしまいます。
午後からは三島市内の会場でシンポジウムに移りました。
当会理事長・小松による挨拶と、専務理事・渡辺による記念講演を経て、日韓両国の各団体から、保全活動の報告が行われました。
韓国・江華島でも火力発電所、潮力発電所の建設阻止運動などによって環境に対する市民意識は従来に比べれば高まっているものの、そうした保全活動は「最もカネにならない」ものであり、「一番後回しに考える問題」という地元の農業従事者の思いも残り、そうした風潮をいかに変えていくか、をGW三島の実績を学び、韓国にも適用させていきたいという意見が出されました。
その後山梨県忍野村、同都留市、山形県山形市の各地における保全活動の実態と問題点等について発表がありました。各演者に共通する問題として、地元住民の活動に対する認識の低さがあり、地区によっては「ゴミを川に捨てるのが習慣化している」ところもあり、バイカモはその生育域である水質を測るバロメーターであり、水質は地元の人々の意識を測るバロメーターである、という結論で一致しました。
繁殖用の池を造成した、学生や他所からの移住者を対象に運動のメンバーを加えた、といった、その地域ならではの有益な取り組み方法についても紹介がありました。
発表の後は一般参加者の皆様とのパネルディスカッション、質疑応答を経て、サミットは無事終了しました。
サミットの後は、そのまま交流会へと移行し、当会のスタッフが和太鼓を披露すれば、韓国からの参加者はアリランを、山形からの参加者は花笠踊りを披露するなど、終始和やかな雰囲気で進行しました。
最後に韓国からの参加者を代表して、韓国ナショナルトラスト共同代表である崔先生から頂いた、「こうした環境保全の話をすると、国籍や言葉の壁を越えて、飽きることなく話し続けられる。バイカモという媒体を抜きにしても、こうして日韓の両国民が仲良くできるのは素晴らしいことで、このような縁が今後も続き、新たな交流やビジネスとチャンスとなれば幸いである」というお言葉が印象に残りました。
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