【熊本地震災害支援】4/27~5/12屋根シート掛けボランティア活動を実施

 当会では、平成28年4月の熊本地震の発生を受けて、子どもを元気に富士山プロジェクト・熊本地震支援活動を開始しました。

 

 4月27日から5月12日まで、日本ステンレス工業株式会社(山梨県大月市)との協働で、被災地にて、屋根シート掛けボランティア活動を実施しました。

 

 以下は、ボランティア活動に参加した、都留文科大学4年の石岡真由美さんのレポートです。

 


 

 

熊本地震 支援活動報告

 

 

共催 NPO法人グラウンドワーク三島、日本ステンレス工業株式会社

 

 

 平成28年4月16日に熊本県で発生した大地震を受けて、NPO法人グラウンドワーク三島(静岡県三島市)と屋根工事業の日本ステンレス工業株式会社(山梨県大月市)は、4月27日から5月12日の16日間、被害を受けた屋根にブルーシートをかけるボランティア支援活動を実施しました。

 

 参加人数、延べ150人が、被災地での現場作業にあたり、熊本県内の大津町、西原村、南阿蘇、宇土市、宇城市、熊本市の6市町村において、損壊した屋根などにブルーシートを掛け木材を打ち付けて固定して家財道具などを雨風から守るための応急処置を行いました。

 

   

出発式(山梨県大月市)

 

ブルーシート、木材、仮設トイレなどを積み熊本へ

 

 

 私は4月30日から5月1日にかけて、渡辺豊博都留文科大学特任教授・グラウンドワーク三島専務理事とともに、現地に赴き、屋根にかけるブルーシートに木材を打ち付けたり、散乱した家財道具などの片付けを手伝いました。気温は25℃を超えるなか、倒壊しかけた家屋で作業をするのは、体力的、精神的にもかなりこたえ辛いものでした。

 

 屋根の作業に関しては、いつ再度大きな地震が来る不安と恐怖の中、命綱を頼りにプロの職人による的確、丁寧な作業が進められました。重い昔ながらの瓦を使った立派な家が多く、1枚瓦がずれてしまうと、そこから一気に崩れ落ちる可能性が大きくなります。

 

 職人たちは壊れた屋根にただシートをかけるのではなく、全体を配慮しながら木材を打ち付け、強度を高め、半年から1年以上の耐久性を発揮する屋根にします。まさに「屋根を葺く」かのような丁寧な作業に被災者は驚き「これで安心して寝れる」と大変喜ばれました。

 

 

 

屋根の補修作業の様子

 

 

 しかし、滞在中には屋根を補修してほしいとの問い合わせが多く寄せられ、どこを優先して行うかの調整がうまくいきませんでした。今後、その調整を円滑に行えば、より効率的に支援活動ができるので、次回以降の課題だと感じました。

 

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 今回のボランティアでは、被災地の現状、問題にも気づくことができました。特に印象に残ったことは、地域コミュニティの違いです。初日に訪れた西原村は、村の8割が居住できないほど大きな被害を受けた地域です。しかし、2回目の本震で8人が下敷きになってしまいましたが、夜中でしたが、すぐに住民の手によって迅速に救助され無事でした。

 

 お話によれば、農家を営んでいる家多く、重機を使ってすぐに救助できたことと、相互の隣人・高齢者がどこに寝ているのか、分かるくらい、日ごろから強い地域コミュニティが存在していました。救助を待っていては助からなかった命が、地域コミュニティの力によって見事にすばやく、安全に救助できたのです。

 

 さらに、地震翌日には、山から水を引き、共同の水場や臨時避難所の設置、炊き出しなど非常の災害時に、迅速かつ適切に対応してきました。ここでは、「自助、共助」の仕組みと意識が、円滑に働き、有事の際に迅速に対応できる日々の訓練が役立ち、道路は寸断されていましたが、各人の持ち味・得意技を生かして、道路の復旧、インフラの整備(電気、ガス、水道など)を自主的に行い、行政からの援助に頼らず生活していました。

 

 

 

西原村の様子
 

西原村の方々からの差し入れ

 

 

 

 一方、郊外では県や自治体の援助や自衛隊の救援活動に頼る傾向にあり、やってもらうことが当たり前のような雰囲気や、すべてを行政支援に頼って、自分たちで解決しようという自主性が極端に欠落しているのではないかとの疑問も感じました。

 

 今回、支援活動に参加してみて、お互い同士が助け合って生きていこうとする「共助の力」が、日頃からの地域コミュニティの強さと大きく関係していることが、地域差により濃淡はあるが、理解できました。

 

 現代の地域社会において、西原村のような濃い地域コミュニティが存在している地域は少なくなり、隣に住んでいる人の顔もわからないようなコミュニティの希薄性の現実は、珍しくはありません。地域コミュニティの脆弱性が進行・拡大していく傾向の中で、地震災害といった非常時に現実的に住民同士がどのように関わり、助け合っていったらいいのでしょうか。災害国日本の抱える問題は、多様な要素が複雑に絡み、深刻な閉塞状態にあることを再認識しました。

 

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 今回の支援活動を踏まえて、日本ステンレス工業株式会社の石岡博実代表取締役は「電気、ガス、水道、設備、大工、屋根屋、とび職、といった、職人の派遣が急務です。しかし、職人は属に言う「一人親方」が多く、自力でのボランティアは無理があります。

 そこで、各市町村で集まった義援金の一部を、職人のボランティア隊の組織に運用して、経費の捻出を考えてあげる事により職人は動きやすくなります。職人に聞くと、収入があれば1週間か10日間は自分の仕事を休んでも、ボランティアに参加したいとの思いが伝わってきました。地域で、コツコツとし活動している、何百人のプロの職人の専門性を借りて、早いうちにシートを掛けなければ、家財、家屋は守ることが出来ません。

 食料、水は勿論ですが、雨漏りによる家屋の傷みは、住むことの「あきらめ感」人口流出にもつながっていく。」と、さらなる支援の重要性と、今後のボランティアへの課題を明らかにしました。

 

 支援活動は今後さらに継続して行われる。屋根に関しては、いまだ支援を求める声が多く、梅雨入り前に再び職人を熊本に送り込む予定です。

またNPO法人グラウンドワーク三島では東日本大震災の経験を活かし、今年の夏を目途に被災した子どもたちを三島に招待し、心のケアを主とした支援活動を行います。

 

 被災地の人に何ができるかを考え、一過性ではなく継続的に支援活動を行っていくことの重要性を改めて再認識しました。私たちは被災地の現状、課題を次に活かす必要があり、今回の地震は決して他人ごとではなく自分の身にも起こりうる共通の問題として真摯に受けとめなければなりません。次に起こる非常時に自分に何ができるのか正しく判断し行動できるように、今回の経験を十分に活かしていきたいと考えています。

 

 

(都留文科大学4年 石岡 真由美)

 

 

 

2016/5/25 23:25 ( その他 )
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