感慨深く、平成24年度がスタート
 4月2日から、平成24年度が始まった。グラウンドワーク三島の事業年度としては、20回目となる記念すべき年度といえる。特に、この時期は、内閣府「地域社会雇用創造事業」の担当職員として、2年間にわたり、頑張っていただいた多くの職員が、三島を巣立ち新天地に旅立っていった。
 
 毎年、繰り返される、年度替わりのあれこれではあるが、去っていくもの、新たに加わってくるもの、残って引き続き仕事を続けるものなど、悲喜こもごもである。多様な思い出や感慨が脳裏を交錯し、辛く、寂しい、惜別の思いが増幅する。
 
 3月中旬から今日まで、昨年度の事業や会計の整理、確認を行い、さらに、新年度の事業費と人件費の確保見込みの最終的な確認や執行体制の再編成、人員配置の調整、支援者や理事、評議員の意見調整や聞き取りなど、年度末から初めにかけて多忙な日々が続いている。
 
 実は、毎年、このような、同じことが繰り返されており、いや、繰り返されてきた。何回も書くようではあるが、本当に、「飽きずに、諦めずに、やり続けて来たな」と自分でも納得している。「新年度の予算は必要額を確保できるのだろうか、現在の職員の継続雇用が可能なのか、支援者は引き続き応援してくれるのだろうか、現在の組織のあり方や職員の対応などをどのように評価していてくれるのだろうか、私たちの事業は真に今日的・緊急的な課題に適合し社会的な使命を的確に果たしているのだろうか、さらに苦労していろいろな事業に挑戦していく意味・意義があるのだろうか」など、その迷いと不安は際限もない。
 
 これらの組織維持・発展のための試行錯誤は、毎年の春の年中行事である。本当に苦しく、追い詰められた、孤独感にさいなめられる心境であり、事務局運営の責任者である事務局長の重要な責務ともいえる。企業や役所では、これらの課題は、組織運営上、当然の事態であり、担当部局が段取りよく、年次計画を立て、戦略的に対応していると思う。
 
 私も役所で働いた経験を持ち、長年、NPOの事務局長を担ってきたが、残念ながら、力不足が原因だと思うが、毎年、同じような苦労と不安を抱え、春を迎えてきた。組織運営の戦略的なマネジメントをお話しさせていただいている者としては、恥ずかしい現実・実態といえるかもしれない。
 
 しかし、まあ、現実社会は、そんなものだとも開き直って考えている。NPOは、「走りながら物事や課題を解決していく楽観的で前向きな組織だ」と思う。あれこれ、定義づけて、固定化してしまうと、官僚主義的な組織になってしまい、活動が委縮し、つまらなくなってしまう。人心も乖離し、創造的で斬新な挑戦や取り組みができなくなってしまう。
 
 やはり、大局を見定めて、行政や企業とは違う、市民目線の組織として、地域の中で、具体的な形で何ができるのかを現実的にとらえ、行動し、成果と実績を残し、地域住民の信頼と評価を蓄積していくことが大切だと考えている。
 
 「いい加減」がNPOの真骨頂である。「不安」は活動の原動力であり、「迷い」は進化と深化への階段であり、「悲しみ」は弱者の心情を知るステップであり、「誤解や対立」は人の優しさや思いやりの心を育てる栄養源でもある。
 
 これら世の中に存在する「負のプレッシャー」を跳ね飛ばし、新たなるNPOの可能性に挑戦していくのが、NPO運営の「醍醐味」である。その組織の中核に存在しているのが、事務局長であり、辛く・苦しい立場ではあるが、逆に、やりがいのある創造的な立場でもある。
 
 人の成長の源泉は、楽しさと辛さの経験知の重なり合いだと思う。楽しさは大切で嬉しいが、いつまでも続かない。辛さも体験さぜるを得ないが、いつまでも続かない。世の中の「光と影」は、相互に交錯し、辛さや悔しさ、切なさを経験し、冷静に耐え、甘んずることで、強靭な精神と心が育成される。交錯する多様な経験は、人生の現実・糸である。糸は弱者を含めた、多様な人々であり、人々と寄り添った活動が、人々を明るくし、弱者の目線にたった「共助」の地域社会を創りあげていく。
 
 これらの理想郷を実現するのが、人々であり、その事実と現実を学び、解決していけるのが、NPOの役割・力である。人は人に傷付けられ、人は人に支えられ、それらのつながり・絆から、勇気をもらって元気になっていく。このプロセスから、善意に満ちた人々の集合体であるNPOが、さらに、強固で実効性の高いサービスを提供することによって、NPOの可能性を実証していかなくてはならない。
 
 大学を巣立ち、社会人になった若者たちよ、まずは、現在の自分に任せられた仕事に集中し、懸命で地道な努力を続けることが第一義である。ただし、迷い、疲れたら、NPOの活動に参加するなど、もう一人の自分が表現できる、時間や空間、仲間を持つことが大切だ。車のハンドルに「遊び」があるように、自分の心と時間に遊びを持てるような余裕が必要とされる。
 
 私自身も、グラウンドワーク三島での活動があるからこそ、もう一人の自己表現の場を持て、楽しく、充実した人生を送れていると実感している。今後も、地域をもっと良くするための自分自身の問題意識に立った、新たな挑戦が実行できるのも、NPOの場を持ち得ているからだと考えている。まずは、自分の時間を、ボランティア活動などに提供し、参加することを通して、多様な人々とのつながりを広げていけば、新たなる自分を発見できると思う。これはもう一人の自分探しのための「授業料・投資」だと考えるべきだ。
 
 今年も、グラウンドワーク三島は、インターンを受け付けている。宿泊のための寮も完備しているので、夏休みや休日など気軽に現場活動に参加して、多様な人々との交流・拡大に挑戦してみたらと期待する。自分を変え、元気にしていくための勇気ある行動を待っている。
 
2012/4/6 0:00 ( メイン )
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