リーダーとしての「人間力」とは(前編)

 また、久しぶりの事務局長のつぶやきである。年を明けても、激務が続き、ゆっくりとした時間を確保することができなかった。多種多様な難題・処理事項が、次から次へと連続的に発生して、その対応に追われ、物事を整理し、文章化して残していくことが、残念ながらできなくなってしまっている。

 

 活動や組織の日々の運営に埋没していては、NPOのマネジメントとして問題があると講演会や大学の授業で話しているのに、恥ずかしながら、自分としてはなかなか対応できていない。しかし、小さな出来事ではあるが、今、この事実を解決しなくてはならないことを、着実に一つずつ処理していくことが、逆に、最大のマネジメント、経験知の蓄積だとも考えている。

 

 2年間続けてきた、内閣府の「地域社会雇用創造事業」も終わりを迎え、次年度に向けての新たな事業への取り組みの一歩も始まり出している。本年は、本法人の設立20周年、松毛川や境川・清住緑地の再生、震災復興事業の取り組みなど、グラウンドワーク三島の次なる挑戦も控えている。

 

 この3月は、少し静養してさらなる体力をつけ、果敢に迅速に創造的に多様な事業に取り組んでいく。今回は、グラウンドワーク三島の多様な活動の持続性と発展性を基盤として支えてきたと考えている、リーダーとしての「人間力」について、私が、講演した概要を掲載する。長文であるが、自分が感じ、蓄積してきた、あれこれを軽妙な「渡辺節・ジャンボ節」で楽しく語っているので参考としていただければと思う。

 

 

 

I はじめに

 1 今日の話しの3つのポイントは、「リーダー、人間力、住みよい地域とは」

 こういう遠い所に、お集まりいただき、ご苦労様です。よっぽど暇…、いや暇じゃなくて、お忙しい方に集まって頂き、ありがとうございます。私もちょっと遅れて来てしまい、昼飯もろくに食べられなかったので、「いい加減に」しゃべりたいと思います。

 今日のタイトルには、「リーダーとは、人間力とは、住みよい地域とは」と、3つのポイントが入っています。リーダーとは一体どういうことを指すものなのか、人間力とは一体何なのか、住みよい地域とはどういう意味なのかなど、このタイトルに沿ったお話が、きちっと出来るのか不安ですが、一生懸命にお話します。

 

 2 問題意識を社会の中で具体化・具現化していくリーダーの力、リーダー性が問われている

 今、私が、「グラウンドワーク三島」のリーダーという、ご紹介を頂きましたが、決してそういう立場だとは考えていません。リーダーとは、皆の知恵といいますか、思いといいますか、具体的な行動を、いかに引き出し、それらを有機的に結合し、多様なパワーを一つの大きな力、具体的な力に束ね、変換できるのか、そのような、「多様な力」を持った人のことを指しており、リーダーの力とはそういう力ではないかと考えています。

 誰かが、まずは、最初の一歩を踏み出さないと、物事は、何も始まらないという事は、皆さんご承知なさっていると思います。皆さんは、こうやって半年近くにわたって、勉強をなさり、地域に帰られて、何かをなそう、あるいは、今、なしていることを、より良くしよう、さらに、いろんな人に、その思いを伝えようと、そういう「問題意識」を持ちながら、このカレッジに参加なさっていると思います。そういう点では、既に、リーダーとしての「資質」を身につけていらっしゃるのではないかと思います。大事なことは、この問題意識を、いかに、現実社会の中において、具体化・具現化・現実化していくかという意味での、リーダー性とリーダー像が問われています。

 

 3 ボランティア活動を始めて25年、グラウンドワーク三島は20周年を迎える

 私もボランティア活動を始めて、今年で25年目になります。来年、グラウンドワーク三島は20周年を迎えます。20年間も、よくやってきたなと思っていますし、白髪も少し増えたなと…三本ぐらい増えただけなんですが…歳も取ったなという思いもあります。

 定年後の同級生には、仕事が無くなってしまい、61歳でブラブラしている仲間も沢山いるわけです。しかし、私の場合、幸いにして、都留文科大学での仕事が見つかり、そこが、生きがいの場、自己表現の場にもなっているわけでして、65歳まで働かせて頂けるということです。

 そういう点では、まだまだやることがいっぱいあって、緊張感に満ちた、辛い日々を送っていまして、とても太れない。たった0.107トンしかないみたいな、成人病ギリギリというか、そろそろ糖尿病みたいな…年は61歳にもなってトン尿病なんて…このだじゃれ、分かりませんね…この参加者、かなりレベル低そう…

 

 4 会場をなごませながらこちらに注意を向けさせるのもリーダーの資質の一つ

 いやいや、そういう分けで、リーダーの要件は、如何に「笑い」をとるかです。笑わせて、和ますというテクニックです。簡単に出来そうに見えて、これなかなか出来ません。昔はお母さんも「どっこいしょ」と言って立ち上がっていたんじゃないですか? 今は「どっこいしょ」と言って座っていませんか? 昔は犬もついて行けないぐらい勢いよく散歩していました。しかし、今は同じように散歩しているのに、徘徊と言われます。「最近は元気で歩き這いまわっているんです」と言うと、「あっそうですか。アルツハイマーになったんですか」みたいに言われちゃったりしませんか? …しませんね。失礼しました…

 という感じで、会場を和ませながら、こちらに注意をだんだんと引きつけさせていくのが、リーダーの資質と言ったら生意気ですが、そういう資質を持っていることが大切です。笑わせて、ごまかすんです。こんな幸せなことはないですよ。笑っているうちに実印がなくなる…笑っているうちに貯金通帳13冊、階段の下の裏側という隠し場所がバレてしまうみたいな話です。オレオレ詐欺よりこちらの方が幸せです…ということで…

 何かあまりに現実性が高いので、この話は受けませんでしたね。同じようなお年よりなので真実味が高すぎるかもしれません…

 

II リーダーとして求められる「人間力」とは

 さて、これから、私が今までに活動・体験してきたことの中で感じてきた、リーダーとして求められる「人間力」や具体的な「資質」を、25項目、列記していきます。黒板に書くのは時間がかかるので、最近は背中ぐらいしかかかないし、時々女房にかかせるので、自分で書いて下さい。書くほどの価値がないと思ったら書かなくて結構ですから、鼻くそでもほじっていていただければ結構です。それでもいやだといったら寝ていて下さい。人生、好きなように生きるのが一番大事ですから。

 

1 自立力、自律力、内発力

2 全体力、総合力、融合力―全体を見られる力、新しい地域パワーを生み出せる力

3 調整・仲介力

4 情報収集力

5 肝力と胃力―気分を晴らしたりコミュニケーションをとる武器として必要な力

6 戦略性、戦術力―真面目にコツコツやるのではなく、先を見てずるくやる力 

7 パートナーシップ力―自分たちの足元を固めてから連携する力 

8 合意形成力

9 ネットワーク力

10 政治力

11 コミュニケーション力―淡々、粛々と、論理的に自分たちの正当性を伝える力

12 冗談力―笑いをとって賛同を得る力

13 忍耐力、消化力―心の整理棚を備えてのしかかってくる重荷を回避する力

14 思いやりの力、愛情力、共助の力―同じ目線に立つ力

15 パフォーマンス力―イベントやシンポジウム、フォーラムを開く力

16 多様なアプローチ力

17 行動力―現場に落としていく力、現場毎に試行錯誤していく力

18 現場力―現場でできる力

19 実現力―形を残す力、身近な小さなことから取り組む

20 問題解決力―総合的な力を駆使して問題を解決して行く力

21 先験力―先に試す力には柔軟力、創意工夫力、創造力、迅速力、説得力等も含まれる

22 国際力―国内ばかりじゃなく外国人達と交流して行く力、意識を持つこと

23 マネジメント力―経営力とリスク対応力

24 ビジネス力

25 決断力

番外地 パッション、アクション、ミッション、人間力

 

 

 1 自立力、自律力、内発力

 まず一番、大事なのは「自立力、自律力、内発力」でしょうか。自立(律)という言葉は、二つあります。一つは自立。自分が自立するという自立。「おまえ、そろそろ自立しろよ」「自分で稼いで自分で生きていけよ」ということ。この自立力というのが非常に大事だと思います。

 それからもう一つの自律力は自己を「律する」ということです。いわゆる自己責任。自分のやることは自分が責任を持つということです。それから、それに絡めた内発力といいますか、創造力を指しています。

 ・「俺たちのことは俺たちでやるべえー」という主体性、自立性

 特にNPOの皆さんは、自分の責任でやっているようで、自分の創意工夫でやっているようで、実は意外と役所から言われていることをやっているとか、やや役所の意向をみているとか、補助金を狙っているとか、そんなことを言うと怒られてしまいますが、そういうことって、意外とあるようであって、あって、ある、んですね。ないと言いませんが。

 3年は支援してくれる。でも4年後に補助金が切れると直ぐ組織が潰れちゃう。3年たつとほとんど消えて行くみたいな…泡のような協議会…。

 役所は委員会をつくるか協議会をつくるかしか手を知りません。それ以外に何かあったら文句を言ってみて下さい。何とか協議会とか何とか委員会とか。それがちょっとあれだったらそれでいいんかい?−みたいなものです。協議をすると言っても2時間の会議のうち1時間50分は役人が説明していて「以上、終わります」みたいなやり方。何も協議していないじゃないですか。そういうことではなくて、やっぱり自分たちで考えて、自分たちでやったことには責任を持つということです。当たりまえのことですが、このことが常に頭の中にしっかり入っているというか、強い意志として持っていることがリーダーとして大事です。まあ簡単に言えば「俺たちのことは俺たちでやるべえー」「やれることからやるべー」ということです。こういう言葉を、言うことです。言える人です。

 これは結構、言ってきますよ。「おめえ、やっぱり、ここはよう…」と。ここは牧之原市じゃなくて掛川市…その隣は菊川市…「県会議員は誰?、県会議員に(言っていこう)…」という話に直ぐなっちゃうんです。外に情報を出して何かを訴え、何かを変えようという意志ではなくて、うちの足元で、足元の中で問題を見出して、それを出来る範囲でいかに具現化できるか、具現化して行くか、その為には一体何が必要かを考えられる力、それが主体性と自立性です。

 ・自立するところに愛・愛郷心が生まれる―議論百出させて愛を呼び戻す

 これは大変、辛いと思います。それから色々、言われます。そういう意味では、いやになっちゃうと思いますが、私どもも同じようなプロセスを経ていますし、今もやっています。しかし、あえてなぜやるかと言えば、そういうプロセスがあると、一種の「産みの苦しみ」が、そこにはあって、そういうことをやることで地域や、そこに関わる事象に対して、「愛」が生まれるからです。その愛は「愛郷心」です。「愛郷心なくして愛国心なし」といわれます。あるいは、「地域愛」というものです。この愛というのが大事じゃないでしょうか。

 むかし彼と彼女の間で、男女の間で「愛」を使い切った人が結構、多そうですが、もう一度立ち上がってみて下さい。これはお父さんたちの個人的な愛ではなくて、地域に対する公益的な愛なのです。社会性の高い愛を、もう一度呼び戻すためには、丁丁発止、議論百出が必要です。それを逃げたら良いものは出来ないということです。行政がつくるものに、愛や人間的な温かさを感じないのは、その議論百出のプロセスが足りないからだと私は思っています。

 「三島が綺麗になった、なった」とおっしゃいますが、はっきり言えば、3年間で約200回の勉強会を繰り返し、いろんな人たちがぶつかりあって議論したからです。「埋めちまえ」という人もいました。「何でこんなくだらないことをやるんだ」、「行政は何をやっているんだ」「政治は何やっているんだ」と、人の悪口ばっかり言い、「東レが水を上げたから地下水がなくなったじゃねえか」と言って企業のせいにしてしまう。という風に、全部、他人事にしてしまい、棚に上げる。しかし、「あんたが雑排水や下水を流しているから、川が汚いんじゃないですか。」みたいな話しです。

 

 2 全体力、総合力、融合力―全体を見られる力、新しい地域パワーを生み出せる力

 2番目は、「全体力、総合力」です。全体を見られる力。そしてちょっと語弊もあるかもしれませんが、色々なことを理解し、色々な専門性もやや持ち、それぞれの要素を先ほど言ったように上手に有機的につなげていける力、「融合力」ということにもなるかと思います。

 融合力ってどういう意味かあるか、お分りですよね。融合することとは、プルトニウムの話です。AというものとBというものを高速で高熱にぶつけると新しいCというパワーが生まれるんです。それなので沢山の多様な人々が言いあって、ぶつかりあって、積極的に、傷つけるという意味ではなくて、前向きな議論をして、結論を出すことによって、新しい地域パワーというものを生み出してゆこうというのが、この融合力です。

 そういう意味では、それらをぶつけあって、ずっとやっていたら火花が散り過ぎて、火事になってしまうじゃないですか。それで「いやいや、まあまあ」と言って、「今日は一杯飲みましょうよ」とか「焼鳥屋にでも行きましょうよ」という配慮が大事です。後で出てきますが、そういう風にして、油を注ぐ部分もあるし、ちょっと水を入れて頭や感情を冷やす部分もあります。そういう力です。

 

 3 調整・仲介力

 ・グラウンドワーク三島がこの20年やってきたのは、この調整・仲介の力

 3番目は、これが最もグラウンドワーク的ですが、「調整、仲介力」です。神代の昔から仲人が存在していました。最近、結婚式に出てまいりませんが、その仲人の力です。今、婚活でおばちゃんが頑張ってくれていますが、大切です。このおばちゃんが一生懸命、繋いでくれて、結婚、結婚と、頑張っていただいているわけです。昔は布団をひいて電気を消せば子供が生まれた。今は電気を消さなくても節電で消さなきゃいけない、それで布団をひくけど、それでも子供は生まれない、とこういうことですよ。こういう意味では、この仲介力というのが大事です。

 調整して仲介する力。これはショック・アブソーバーでもありますし、それからコーディネーターの力でもあります。いわゆる演出力といいますか、そういう力でもあります。どこかに何かの問題があり、それを誰がどういう風に解決すればどうなるかということが全て分かっている人、この立場の人が、プロデューサーです。ですからプロデューサーというのは、テレビ番組を作ろうと、映画を作ろうと、一番トップに立って全てを采配しているリーダー中のリーダーになりえるわけです。私どもグラウンドワーク三島が、この20年間、やってきたことは、この調整・仲介力だったんです。

 ・一人一人が喜ぶ100点を探さずに皆が喜べる70点を探す力

 川が汚くなる、街が汚くなった。一人一人は、それぞれバラバラにある程度の努力はしてきた。しかし、よく考えてみると、市民も住民もNPO・市民団体も行政も企業もバラバラだった。無関係で問題のない範囲で好きなことしていた。その好きなことをしていたことは批判しません。だが、前向きに、批判はやめて、得意技を伸ばして、長所を引き出して、それぞれが上手く、連携・信頼して、いいことだけを出しあい、大きな力を生み出して行こうと。そうしないと三島は終わっちゃうということを、あっちこっちで、3年間、言い歩いたわけです。

 しかし、三島のある人たちは、我々のことをこう言いました。うちの合言葉は“右手にスコップ、左手に缶ビール”ですが、「君たちは、ただ美味しいビールが飲みたいだけなんだろう。要は、酒を飲むことが主目的の集団だろう」って。10年間、いろいろと言われたんです。

 ジーと黙って聞いていて「いつか待ってろ」と。「穴を開けて埋めちゃおうか」と。いやいや、そんなことは冗談ですが…。だって、その間に、三島は電柱が地中化になったんです。僕は、その間にお店が地中化されちゃうと思ったんですが、意外とお店ももってくれちゃったりして、皆の力で川が綺麗になり、人が歩きだし、約12年間で45万人も観光客が来て、15倍にも増えたんです。そして中央通りの空き店舗は、なくなりました。約740m、236店、お店がありますが、三島のいわゆる東海道ですが、見に来てください。空き店舗は一つもないですよ。

 皆で協力しあって、それぞれの立場で知恵を出し合ったんです。こういうことは、誰かが調整しないと、事実関係をつくることは、正直、無理だと思います。なぜ、無理かお分りですよね。利害や思惑が優先するんです。ですから最終的は、バラバラになってしまうんです。「いやいや、そうじゃないんだよ」と。「皆が喜べる70点を探そう」と。一人一人が喜ぶ100点を探すから失敗するんです。70点でいいじゃないですか。それで合格ですよ。入っちまえば、こっちのものだから。みなさんは立派で優秀だから100点を狙おうとする。関係ないですよ。受かっちまえばこっちのもの。街の息の根を止められてしまったら終わりじゃないですか。やはり、しっかりと息が続けられるような仕掛けを作る。調整・仲介力を発揮して頑張るということではないかと思います。

 

 4 情報収集力

 ・情報の受発信力がなければリーダーは裸の王様

 4番目は、「情報収集力」です。インターネットとかツイッターとかユーチューブとか、フェイスブックとか、今、色々ないわゆる電子情報が乱れ飛んでいます。ブログもそうです。いいブログ、悪いブログ、いろいろあるでしょうが、これで、中東に改革の風が吹き春が来て、そして、中国でも少しずつ民主化が進行しています。

 インターネット上の電子戦争ではないですが、誹謗中傷を入れて一人の人間を自殺にまで追い込んでしまう。韓国は多いですよね。そこまでインターネットによる情報が武器化・狂暴化しているわけです。逆に言えば、こういうものに上手く載せて情報を発信しまた集めることです。いわゆる受発信です。この力なくしてリーダーは、「裸の王様」だということです。自分の財布の中にいくらお金が入っているかも分からないのに何処に戦争に行くんですか。こういうのは放漫経営ということでしょう。

 

 5 肝力と胃力―気分を晴らしたりコミュニケーションをとる武器として必要な力

 5番目は、「肝力・胃力」です。これは、特に大事ですが、どういう字を書かれましたか? 肝臓の「肝」です。肝臓の力と胃の力という意味です。皆さんがリーダーになって行くと、これから色々なことが起こります。トラブルや、なかなか思うようにならないこと、思うようにしなきゃいけないことが起こります。その時に、どうやって気分を晴らすか。何をコミュニケーションの潤滑油にするか。そのための舞台として、聖徳太子は赤提灯というものをちゃんと用意してくれたわけです。あれは川勝知事が用意したんじゃないんです。前の知事の石川さんが用意したのでもないんです。聖徳太子か、ここは富士山ですから、木花咲耶姫が用意したと私は思っているわけです。というわけで、とにかく、「赤提灯」で楽しくいきましょう。

 分かりましたね。それを繰り返していく為には、肝臓の力が強くなきゃ駄目です。どうしたら強くなるか親に聞いてみてください。私がお教えします。肝臓の力を維持するためには、水を2リッター毎日、飲んでください。私は、冗談抜きで毎日2リッター飲んでいます。冷酒をコップでぐいと飲むでしょう。そしたら隣においた氷を入れた水を飲みます。これの繰り返しをしておりますので、あっという間に水が一升、無くなります。本当に、一日一升ずつなくなります。内村鑑三が「一日一生」って言いましたが、字が違いますね。いい言葉はちゃんとメモっておいてください。一言1,000円、キスが500円、妊娠が300円…受けませんね。県庁の方もいらっしゃる…ということで胃の力も大事だということです。

 何を言いたいかというと、やっぱり宴席というのも必要ということ。こうギスギスした時代に、いいじゃないですか。ウーロン茶を飲んだって、お茶を飲みながらでもいいじゃないですか。やはり「会議が終わったら、ちいーと一杯飲んで」という話じゃないでしょうか。まあ楽しくいきましょうということ。死ぬまで生きられますから。太っていたって最後は痩せて燃えやすくなりますから。吉永小百合がどうこう言ったって結局50歳までですから…否、勝負は60歳までかな…。まあ、どうせみんな最後は、人間、皆、痩せます。そういうことなのです。

 

 6 戦略性、戦術力―真面目にコツコツやるのではなく、先を見てずるくやる力 

 6番目は、「戦略性」です。戦略力という言葉があるかどうかわかりませんが。私は常に「戦略的アプローチ」と言っているんですが、戦略的という意味は分かりますよね。これは「先を見てずるくやりなさい」という意味です。

 生真面目にコツコツやったって世の中変えられないよ。否定しているんじゃないよ。いろんなものを、さっき言ったように総合的に集めて、今、何が一番必要かを的確、適切に、前石川知事流に言えば「生産性の向上」です。いわゆる合理的な発想と行動力、迅速な対応ということになるわけです。これをやらないと、疲れていきます。NPOは、無償だと言いますが、いつまでも善意が続きますか? お金が続きますか? 思いが続きますか? 体が続きますか? お仲間も一緒にずっといてくれますか? 女房にすら愛されないようになりつつあるのに(いやすいません)、他の方と20年も一緒にやっていける自信はおありですか? ということです。

 やっぱり高速で回転してどんどん攻めて行かないと駄目です。その為には足元の戦術です。戦術は、明日、何をするかという意味です。あさっては何処まで行くのか、そして一年後には何処まで行こうとしてるのかという意味です。そこまで行くと、今度は戦略の段階に入って来るわけです。3年後は、どういうステージにもっていくのか? 10年後にはどういう状況がみえるかということになると、ますます戦略性、こういうことになってまいります。戦略という言葉を、とにかく頭にしつかりと入れておいて下さい。

 

 7 パートナーシップ力―自分たちの足元を固めてから連携する力 

 7番目は、「パートナーシップ力」です。1人でやるより2人でやったほうが大きな力になります。3人でやるより10人の力がもっと大きいです。そういう意味では、まず核になる自分達、自分なり個人、それから基軸になりえる組織というものを、きちっと固める。これは芯ですから、核ですから、ハブですから、支柱ですから、基盤ですから、ボードですから、パレットですから、いろいろな言葉で表現しますが、基盤になる部分、足元の部分を、まずきちっと固めて、そのうえで周りの人にアプローチを、放射線状にかけていく。

 バームクーヘン形のNPOの手法と言っていいかもしれません。バームクーヘンというのは丸くて、何処をかじっても、どこを切っても、だいたい同じような味がするじゃないですか。これがパートナーシップ力です。共有性とも言えます。

 まず自分なんです。自分の組織なんです。そこの意志を、ミッションを確立し、確実にしたうえで、しかし、限界というものもありますから、もう一つの組織と、ダブル部分というか、意志を同じくする部分があるなら、そこと連携してやっていく。そして、色々な活動を発展させていくのです。

 あれも、これもやりたいということになりますが、自分の所で、あれもこれもやろうとすると必ず消化不良になって、「いったい私は誰?」っていきます。結果的に、内部崩壊ということになっていくわけです。「いったい何の為の組織なの?」ってことになってしまう危険性が非常に大きいわけです。

 私も県のNPO推進室長を5年間担当し、静岡県内のNPOの実態を見て来て、私がいる範囲だけでも420ぐらい認証書を渡してきまたが、今、残っている団体は一体、何団体あるのでしょうか。私が知っている範囲でも、理事会で決裂して理事が別れ、違う組織を作りました。組織内のヒビ、歪というのは、非常に単純にして複雑なものです。

 そういう意味では、自分の組織の足元をきちっと固めながら、関係者の意志を同じくしながら、あまりウィングを広げずに、広げようとするんだったら、その意志と似かよったことをやっているような人たちと連携しながら、活動の多様性を作っていくほうが、戦略的にはいいのではないか、効率的ではないかと考えています。

 

 8 合意形成力

 ・合意形成のゴールを時間をかけて見つけて行く

 8番目は、「合意形成力」です。コンセンサスの力です。役人が一番、不得意なものです。沼津の高架問題はいつまで経っても解決しない、解決するわけないじゃないですか。かっこよすぎるから。私も空港対策課に5年もいたんです。5年間も働いており、用地交渉をやっておりました。1日2時間しか寝ないで、血を吐く…みたいな仕事をずっとやっておりました。

 街づくりというレベルにおいて、町内というか、現場というか、一種のコミュニティーの範囲に入っていっても、最終的には、いろんなことをいう人が山のようにいるわけです。しかし、これをやらなきゃいけないと、こうしなければいけないと、強い意志をもって、その方向性を決めたら、それを貫き通さなければいけないという命題を持っているわけです。その為には理解して貰わなければいけないわけです。理解のプロセスが、「参加のプロセス」なんです。

 ゆえに、それは「民主主義のプロセス」です。右だ左だ、カレーライスだ、焼き肉だという人は、腐るほどいるわけです。それを、私が好きな大盛りカレーにするという方向にもっていくためには、さあどうするんですかということです。しっかり聞いて、しっかり主張するということです。そして先ほどと同じですが中庸です。課題を収斂させて、そして皆が70点くらいの合意形成のゴールを見つけて行くということです。

 そのためには、時間がかかります。急いで答えを出そうとしたら駄目です。役所のように1年で何かをつくろうとしたら、必ず失敗します。ゴールはないようでいて、ゴールはあるんですが、ゴールがなければ走れないでしょう、疲れちゃうでしょう、心がなえちゃうじゃないですか、だからゴールは作るんですが、年度で作らない。熟成度で作る。そういう合意形成の一つのポイント、ノウハウを頭に入れて頂きたいと思います。

 ・合意形成から逃げてはいけない

 これを逃げたら絶対に駄目です。逃げたら物事は上手くいきません。まさに、多様な人々も応援してくれません。それから何か、ものをつくるとしたら、そこに魂が入りません。愛着心が入らないから形を作っても、ビオトープを作っても、管理する人がいなくなります。3年、5年はもつでしょう。しかし10年、20年となったら誰がやるんですか。どうやってやるんですか。誰が責任をとってくれるんですか。という小学校の先生が今、日本中に山のようにいるわけです。 ビオトープ、ビオトープといって、気が狂ったように小中学校にビオトープを作って、今はビオトープを壊せという運動です。校長先生はいなくなった、PTAの会長もいなくなった、一生懸命やっていた先生もいなくなった、さあ、ビオトープだけが残った。

 「一体なんだ、この水たまりは」という話になってしまっているわけです。全部がなっているとは言いません。私だって自戒しなければなりません。4つも作っていますから。保育園から小学校、高校と見に来て下さい。10何年たったっても綺麗になっています。

 これは合意形成の力です。子供も含めてちゃんとやる。合意形成の裏には、ちゃんとした持続可能な管理システムが、そのゴールの中に入っているということです。分かりますよね。管理をしなきゃいけないんです。一番、嫌なんです。一番めんどくさいんです。一番金がかかるんです。皆やりたくはないんです。市長はオープン記念と祝賀会には来るんです。でも管理には来ないんです。知事もかっこ良いとこしか来ない。そうでしょう? それはお役目だからしょうがないけど、住民が来なくなっちゃったらどうするんですか? 自己責任を果たして下さい。

 

 9 ネットワーク力

 ・色々な専門性を持った人達と繋がっていくこと、人を使う力

 9番目が、「ネットワーク力」です。先ほどのパートナーシップと、どう違うか。ネットワークは色々な専門性を持った人達と繋がっていくということです。グラウンドワーク三島では、緒明理事長さんのお名前をお借りして、我々NPOの組織や活動の社会的信用力を担保していただいています。私ごときが、リーダーなんてとんでもない話です。どこの馬の骨だか分からないじゃないですか。県庁の役人なんて便所の蠅(失礼しました、退職すると強気です)みたいなものです。6,200匹飛んでいるだけです。叩いたってたいしたことはない。こんなもの偉そうにしていたって、立場がなくなったら何も関係ないんです。

 重要なのは、「人的ネットワーク」であり、「資金的ネットワーク」であり、「専門的ネットワーク」であり、「情報のネットワーク」です。「因習・悪習のネットワーク」です。何でもいいですから、もってこないと、皆さん自身が、みんな努力して、金を使ってやらなきゃいけなくなっちゃうんです。すり減らないことです。NPOで、すり減っちゃ駄目です。NPOで太って行かなきゃ、どんどん気持ちも大きくなって、そのためには、多様な人々を使いこなすんです。ネットワークの力は、多様な人々を使う力だと正直、思います。

 ・会社の理念、会社は何のために存続しているか、日本と外国とを比較する話

 ですから、金を持っていそうな人に近づいて行くんです。赤提灯で一人で飲んでいちゃ駄目です。一人カラオケが出来たようですけど、あんなところで歌ったって何の創造力も生産性もないでしょう。人がいるところに行くんです。金もっていそうなところに近寄って行くんです。失礼な言い方をしますけど、貧乏人のところに行ったってしょうがないでしょう。私は赤字を出している企業なんかにお願いに行きませんよ。失礼でしょう、調べて来いよという話でしょうが。今グーンと伸びているところに行くんです。そうして金をふんだくって帰って来るんです。別にそれで私の給料が上がるわけでも何んでもないんですが、今だってそうだけど、どのぐらいの数、いままで企業回りをしたと思いますか?

 儲かっているって、何処で調べるんですか。会社の定款って読んだことありますか?定款に何が書いてありますか。ご存知ですよね。利益の配分ってとこに何が書いてありますか。会社が何のたちに存続しているのか書いてあるんです。そこを読んで行けば、ああこの会社は、こういうミッションをもった会社だということが分かるんです。

 皆さん、参考に、世界最大の保険会社プロテンシャルの定款っていうのを、英語ですけど、30年かかって読んでください。あのプロテンシャルの定款というのは素晴らしいですよ。世界のためにあるんです。あの会社は株主のためにあるんですけど、ミッションはこんなにたくさん書いてあるんです。日本の学生は、会社の福利厚生とか給与とか、そんなことばかり見て会社に入って行く。しかし私が知っているイギリスの学生は、会社のミッション、理念を見て会社を選んでいるんです。イギリスの会社案内って知っていますか? というと失礼な言い方ですが、今度、海外に行ったら本屋に行って、海外の会社の会社案内、こんな分厚いですけど、買ってきてください。そこにちょっと英語で書いてあるかもしれませんが、英語の達者な方は、日本の会社案内と見比べてみてください。書いてあることが全然、違うから。インターネット上で出ていますからみてください。会社は何のためにあるのか。日本は貧相です。誠に貧相です。すみません、くだらないことになってしまって。

 

 10 政治力

 ・政治力を使う―首長や議員さんの理解を得る

 10番目は、「政治力」です。これは自分たちがやっていることです。政治家といいますか、少なくとも首長さんにご理解して頂かないで何をやるんですか。少なくとも議員さん全員とはいいませんが、主だった議員さんにご理解を頂いて、アドバイスを頂くというのは当たり前のことなんじゃないでしょうか。

 選挙で選ばれた人ですから、やっぱり住民の代表者です。そういう意味では、市長さんに話をして「ああ、いいね」と言って頂いたということは、「NPOグラウンドワーク三島の言って来たことはちゃんと受けてやれ」と部長に対する指示と同じなんです。これで一気に信用度が、上がるんです。だから使うだけ使う。皆さんが選んだんだから。税金で食ってんだから。

 使わなきゃ損でしょう。批判ばっかりしてもしょうがないから。近づいて行く。ちょっと強めの化粧品で。駄目、つぶれたヤオハンのやつじゃあ。バーゲンのやつはだめ。匂いが弱いから。続かないから。瞬間は強いんだけど、続かないから。やっぱりシャネルのずーっと番号の高いやつ。というわけで化粧品と政治力が大事です。

 ・市長の所に頼みに行く時は大事なことを2つだけ大きな字で書いてもっていく

 今、何を言っているか分かんなくなっちゃいますが、そう思いませんか。いいから、ちょっと頭下げる。そのときにあれですよ。市長さんのところに行くときに、よくこういう文書を持って行きたいと相談を受けます。メールで送ってきたりするんですが、30枚ぐらい書いてあるんです。もうそれは見ないから。だから1枚で、でかい字で、14ポぐらいまたは16ポぐらいで書いて。3つ以上書いても、分からないから。2つしか分からないから。知事クラスはもう一つ、首長は2つ、おまけで3つ。4つ以上はただ頷いているだけだから。幾ら、わーっと一生懸命、説明資料付けて、パッパッパピンポンパーンとやったって、ポイとゴミ箱に…。すみません、俺、この間、そうやって話したら「どこのゴミ箱ですか」って急に質問した人がいて困っちゃったんですが、それはおいておいても、2つ。2つ。2つだけ分かりやすく、デーン、デーンと、書いていってください。

 これ、結構、難しいよ。皆さん、自分で何やりたいか分からないんだもん。やたら興奮しているから。役所に来る人なんて、べちゃくちゃべちゃくちゃ言っているから。「そうですね、そうですね」と応えて1時間黙っていれば、「はい、お帰りはあちらでーす」って感じですから。最近、変わりました静岡県庁も。すいません急に、静寂が来ました。

 

 

 

 

 

続きとなる「11 コミュニケーション力」〜「25 決断力」、「番外地 パッション、アクション、ミッション、人間力」はリーダーとしての「人間力」とは(後編)をご覧ください。

2012/2/27 0:00 ( メイン )
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A story of Genbegawa

 

2021年8月26日「三島梅花藻の里」の定例整備作業

 

2021年9月16日「桜川川端」の整備作業

 

2021年8月28日「鎧坂ミニ公園」の整備作業

 

訪問者数(1997年7月31日~)

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