大きな「夢」と強い「心」を持って難題に挑戦せよ

新年、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

 

 いよいよ、新たなる一年が本日から始まる。今は、本年への一抹の不安と期待が交錯して、少し気持ちが落ち着かない。毎年、同じような気持ちで一年が始まるが、結局は、日々の仕事や責任に追われ、大局的・長期的な視点に立った、戦略的な取組みが難しく、反省点が多い年になってしまう。

 

 さて、本年は、私にとって、どんな年になるのやら、当然、予測は難しい。私も、還暦を過ぎ、立派に中高年の仲間入りとなる。静岡県庁の同期生や大学の同窓生たちも、それぞれに定年になり、人生行路の一つの区切りの年をむかえる。全力でそれぞれの人生を駆けぬけてきたと思うが、人生の「セカンドステージ」の入り口に立って、新たな決意と不安が交錯しているのではないか。

 

 私も、35歳から、三島での市民活動に取り組み始め、本年で、25年以上の市民活動経験と20年近くの事務局長としての役割を蓄積することになる。まあ、飽きずに、これらの役割と責任を放棄せずに、ここまで続けられてこられたものだと感心する。「ふるさと三島」の環境悪化の現実と放置が、市民活動を始めるための劇的な「動機」になったわけだが、その原動力は何に起因しているのであろうか。

 

 やはり、ふるさとの現実と課題に対する、自分としての大きな「夢」を具現化したいと思う強い「心」、そして、愛郷心と問題意識が、その基盤・燃料になっている。当時、私は、静岡県庁に勤めており、農業土木職員として、地域の中で多様な経験知を積み重ね、専門職としてのキャリアにも磨きをかけていた時期であった。とにかく、仕事が面白く、職場や農家の期待も大きく、職場に自分なりの活躍の場を見つけ、脂の乗った時期だった。

 

 しかし、一方では、心の中に戸惑いと躊躇の潜在意識が交錯していた。「今のこのままの生き方やあり方だけが、自分の今後の人生のすべてになってしまうのか」との疑問と迷いの気持ちが増幅し始めていた。

 

 確かに、農業農村地域の合理化と効率化を図る土地改良事業の社会的な役割と意義・重要性は、充分に理解していた。しかし、農地の集約化や専業化を進めるための現場では、かえつて兼業化と土地の資産化を促進し、また、素晴らしい農村地帯の日本的・文化的な空間を農地の装置化との大義名分により破壊し、棚田や谷地、石積みなどの日本的な景観美もコンクリート化されていった。

 

 いくら農林水産省の補助事業といえ、地域の歴史性や個性、特性、地域住民の考え方や思いを軽視した、均一・均質な土地基盤整備事業のあり方に、強い「疑念」を持ち、事業を推進ながらも日々の仕事において、疲れを増幅させる毎日を送っていた。このような時期に、自分の生き方やあり方に迷いを感じていた「心」の拠り所として、ふるさと三島の水辺自然環境の実態と現実に、ふと自分の関心ごとを回帰してみた。

 

 何と、その現実は悲劇的であり、衝撃的な環境悪化の事実を認識せざるを得なかった。子供時代に遊んだ水辺や湧水池、井戸などは、荒れ果て、ゴミが捨てられ、雑排水が混入して、ヘドロが堆積し悪臭を放っていた。富士山からの湧水があふれていた、あの「清流の街」が、悲惨な姿に傷付いてしまっていた。

 

 皆さんだったら、こんな悲しい現実を目にした時に、どのような行動を取りますか。私は、生き方を根本的に変えるほどに、「心」を震撼させる衝撃的な影響を受けた。とにかく、今までの県庁での生き方を続けながら、ふるさと三島の難題に飽くなき挑戦を続けていこうと決意を固めた時期だった。

 

 人生の中で、こんなにも簡単に衝撃の中から、今後の自分の社会的な役割とあり方を発見・修正できるものかと不思議に感ずる。しかし、35歳までに蓄積してきた、大いなる問題意識、多様な課題を処理できる解決力や経験知、苦しみや悩みを乗り越えていく精神的な強靭力、バラバラな意見や複雑多岐な人間関係をまとめていく調整能力、多くの人々や組織を束ねていく人間力、考え方をすぐに現実化していく行動力、お酒を媒体にした豊かなコミュニケーション能力など、今までの人生の中で、苦しみ、迷いながら蓄積してきた多様な能力と知識を駆使して、現在までの間、多種多彩な難題に挑戦してきた。

 

 具体的な取組みとしては、平成3年に、三島ゆうすい会を結成し、市民活動の基軸とした。相まって、三島ホタルの会・源兵衛川を愛する会・桜川を愛する会・境川清住緑地愛護会などを、次々に結成してさまざまな視点からの市民活動の原動力とした。平成4年には、グラウンドワーク三島を結成して、市民と多様な組織の総力を結集した、新たなパートナーシップ型の市民活動を展開してきた。

 

 また、富士山の環境問題や世界遺産に取組むために、富士山クラブ、富士山エコネツト、富士山測候所を活用する会、富士山を世界文化遺産する国民会議などを結成・協力して、広域的な市民活動を推進してきた。

 

 特に、グラウンドワーク三島が始まってからは、まさに、静岡県庁職員とNPO事務局長の「並行移動」の生活を続けながら、何とか、先進的で創造的な市民活動を先導してきた。三年前からは、次のNPO・ボランティア活動を支えていくための人材育成に自分の役割を見出すために、都留文科大学文学部社会学科教授として奉職することにした。

 

 以上、新年のスタートラインに立って、約25年間にわたる市民活動の遍歴と感慨をまとめてみた。現在、グラウンドワーク三島では、内閣府の「地域社会雇用創造事業」に取り組んでいる。人生の生き方や自分としてのあり方に迷っている若者や人生のセカンドステージの生き方に苦慮している中高年者は、この研修事業に是非とも参加してほしい。

 

 課題に立ち向かう「心」の元気と多様な難題に立ち向かえる不屈の精神力と専門性を学ぶことができる。全国どこから参加しようと旅費や宿泊費は、「無料」である。プレゼンで選定された事業提案には、100万円の起業支援金や一定の要件の人には、一か月14万円の活動支援金も提供される。

 

 昨年の8月に開催された第I期目の最大の成果は、個人や組織が、マネジメント力やビジネス力をスキルアップできたこととともに、多様な人々との思いと心の交流にあった。

 

 人生の中で、良きチャンスと気づきの時間は、待ちの姿勢では見逃してしまう。私も、飽くなき市民活動への挑戦の遍歴は、チャンスを自らがつかみに行く小さな勇気と決断だった。いろいろな制約はあるとは思うが、本年の2月7日から始まる第II期のグラウンドワークインターンシツプ研修に集結してほしい。

 

 いまだに就職先が見つからず、不安や戸惑いを感じている大学生や未就業の若者たちも、社会の現実と厳しさに「心」が折れずに、「心」の元気を求めて、グラウンドワーク三島の現場モデルを体験・学習してほしい。私のつたない人生行路での感慨や蓄積してきた専門性を情熱的に伝えたいし、先人の言葉の力から「心」の疲れを癒し、再生してほしい。

 

 本年も、私は、間違いなく、高みのさらなる難題に果敢に挑戦していくだろう。また、創造的な新たな地域再生や国づくりの取組みに対しての提言を進め、地域から、小さな「社会変革」の波を起こしていきたいと考えている。まあ、困難にめげていては、おいしいお酒は飲めない。同じ目標と目的を持った同志や職員たちとともに、60歳の秘められた「おじい力」を、さらに発揮していこうと決意している。

 

 まあ、今後、少なくとも10年間は、グラウンドワーク三島の諸活動に全力で取組んでいきたいと考えている。特に、今年は、株式会社と農事法人の設立を計画しており、ビジネス力の強化を目的とした新たな事業化に着手する。公務員、並行してNPO事務局長、大学教授、次は、社会的企業の社長が、私の大いなる「夢」である。単なる「夢」で終わらせず、事実化・現実化するための具体的な戦略を着実に蓄積していく。

 

 この不思議な興奮とワクワク感が、創造の喜びであり、不屈と普遍のモチベーションの源泉なのかもしれない。どうも本年も、家族と、ゆっくり、ゆったりする時間を確保することは「夢」になりそうである。対比する「夢」と「夢」、このバランスとアンバランスの微妙な感覚が、人生の中で、弛まぬ緊張感を生み出している。

 

 まあ、いいか、とにかく、懸命に頑張っていくぞとの心境である。難題は、強い「心」を育て、大きな「夢」を実現する人と組織を成長・強化していく。引き続き、関係者とボランティア、インストラクター、スタッフの皆様のご支援とご協力をお願い申し上げます。

 


特定非営利活動法人グラウンドワーク三島
事務局長 渡辺豊博

2011/1/1 18:22 ( メイン )
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