【1/21報告書追加】9/8~9/20英国スタディツアー2018レポート

【2019年1月21日追記】

英国スタディツアー2018の報告書が完成しました。

 

都留文科大学や長野大学、立教セカンドステージ大学の参加者による報告書では、
今回のスタディツアーで訪れた視察先の概要や、

参加者の皆さんの感想など、それぞれ充実した、熱い思いが伝わる内容となっています。

 

イギリスの先駆的な社会的企業や、市民セクターの活動から、
日本の課題や問題についても考えさせられる、全29ページの報告書となっています。


市民活動、社会的企業に興味のある方、イギリスに社会に興味のある方
ぜひ一度ご覧ください!


英国スタディツアー2018 報告書(PDFファイルが開きます。)

 

 

1日目:9月9日(成田空港~バーミンガム)

 昨日からの長旅を終えて、今、英国のバーミンガムに着きました。いよいよ明日から英国でのスタディツアーが始まります。激しい近代化と本来の古さが入り混じった大都市・バーミンガム、訪れる度の街の変容に驚きます。難しい講釈は別として、まずは中華街で絶品の「牛肉麺」を食べました。疲れを取り、明日から楽しい視察のスタートです。やはりギネス・黒ビールは美味しいですね。昨日から、一万二千歩も歩き疲れました。お休みなさい。

 

 

 

2日目:9月10日(グラウンドワーク本部)

 本日は英国グラウンドワーク連合体での研修です。私も28年前から何十回も通い、創造的な市民運動の手法を学び、私の多様な発想の原点ですが、今回も驚くような取り組みに刺激を受けました。コンクリートでどんな見映えのいい街をつくっても、その経済的な発展に取り残されてしまう、社会的弱者が存在します。グラウンドワークの使命は、それらの弱者に対して、心に寄り添った人間的なサービスを提供して、絆を深め、自立性の高い心に誘導することを目的にしているとの説明がありました。多くの移民・難民が押し寄せ、多文化共生のるつぼと言われている英国。治安問題を含めて経済的な発展よりも、人々の心のケアや安らぎ、絆づくりを強化することが国策の中心になっていることを学びました。やはり高層マンション建設による地域経済の発展からは、人々の心の豊かさは求められず、源兵衛川での水遊びやホタルの輝きが、人々の心を安寧にすることが、英国の国づくりと類似していると実感しました。グラウンドワーク三島が主張している、水と緑と文化を活かした、人間の幸重視・市民目線の施策が世界標準であると確信しました。

 

 「バーミンガムの奇跡」とは、古き運河を再生して、街づくりや再開発事業の中心に位置づけ、活用したことです。家々が川側に入口を入れ替え、川と向き合ったことで、「水辺の都市」として魅力アップして成長・発展しました。今後の「水の街・三島」の未来予想図といえます。英国グラウンドワーク連合体は、活動のターゲットを人の心のケアと社会的弱者の救済に向けています。多額の予算を投入したコンクリート構造物には、人間愛は醸成されません。市民団体による心に寄り添う、人間的サービス強化の時代が英国のトレンド・潮流です。豊岡市政は、英国の国づくりの方向性と大きく離反しており、その間違いをバーミンガムの街づくりを見て確証しました。

 

 

 

 

 

3日目:9月11日(コッツウォルズ)

 9月11日は、バスでコッツウオルズ地域の歴史的な村々を訪ねました。ボートン・オン・ザ・ウォータは街の中心に小川が流れ、水辺の街として世界中から観光客が訪れています。美しく街の景観が保全され、洒落た小さなお店やカフェ、レストランが街中に点在しています。三島の水辺の街づくりと発想が類似しています。午後は、コッツウオルズ保全委員会を視察しました。あの英国の整然とした統一された田園風景は、市民・行政・企業・政治家が一体化した連携組織により、開発抑止や景観規制、環境管理など、地域全体を包括する法律と組織により厳格に守られ、維持されていることを学びました。英国の田舎には、お金持ちのお年寄りが沢山居住して地域経済を支えています。古民家も100年1億円と評価・査定されています。英国の田舎保全の手法を活用することで、日本の田舎も「宝の山」に変容できると確信しました。

 

4日目:9月12日(オックスフォード、タックリー村)

 本日の研修は、オックスフォードとタックリービレッジコミュニティショップです。ハリーポッターの夢の世界と海岸に沈むブライトンの夕日は格別です。海辺のレストランで美味しいシーフードを食べて、ご機嫌の私です。

 

 

 

5日目:9月13日(コミュニティ・ウッド・リサイクリング、セブンシ・スターズ)

 英国・ブライトンの早朝の海岸線の風景です。日本人よ、今こそ「遊び方改革」を実践して、心安らかな人生を過ごしましょう。お年寄りの仕事と責務は、次世代を担う若者に、次の夢舞台と発展の可能性、糊しろ、遊びを残しておくことだと思います。地中海の波の囁きを聞きながら、大人の役割を考えています。今の価値判断で物事を動かしてはダメだとの話です。あの人は、わかるかなあ?わからないだろうなあ?

 

 

 

 本日の視察は、ブライトンにあるコミュニティウッドリサイクルリングとセブンシスターズの散策、郷土料理の美味しさの確認作業です。とにかく13000歩も歩き回り疲れました。今日は、私の女性ゼミ生との一杯会です。楽しさの体験と演出は創造的な発想の原点であり、ひと時の息抜きが原動力の起爆剤です。ゼミ生との楽しい話は心休まる時間です。明日は、英国最後の研修日です。朝7時からロンドンに移動します。

 

 

 

 

6日目:9月14日(バイク・ワークス、グラウンドワーク・ロンドン)

 本日、9月14日は、ブライトンから電車でビクトリア駅に移動し、オイスターカードを購入して、バイクワークスとグラウンドワークロンドンを視察しまた。バイクワークスは、もともとは荒れたダウンタウンにおいて、放置自転車を再利用した、犯罪者を雇用し、社会的企業の自転車屋を経営していました。今では事業的に大成功し、ロンドンオリンピックの自転車会場の運営管理までも担う成長を遂げました。しかし、10年前から訪問している私には、事業が巨大化し過ぎて、組織としての原点・貧困地帯での雇用確保と犯罪者の社会復帰、専門性や資格の取得が脆弱化したと感じました。グラウンドワークロンドンも、職員250人の街づくりコンサルタントとして大成長し、行政の下請け的なコーディネーターの役割を業務として担っていました。企業としての成長・拡大と公益的な活動の展開と充実・評価、非営利と営利とのバランスとアンバランス、それらの微妙な調整は難しいことだと実感しました。沢山稼いでも会社の理念とは違う、当然、損を出したら会社は成り立たない、この両者の社是の均衡が、経営者の能力であると感じました。私としても、さらに儲かるグラウンドワーク三島をどのようにして創り上げていくのか、その手腕と試行錯誤のプロセス・挑戦が続きます。

 

 

 

 

 

7日目:9月15日(ロンドン、バース)

 9月15日は、パディントン駅より2時間かけて電車で世界遺産都市・バースに行ってきました。ここは、ローマ時代に温泉の街(ローマンバス)として栄えました。なんと 2000年前に温泉を発見し、健康維持を図るパワースポット、身体の癒しの公共浴場・保養地としての役割とともに、多様な地域宗教・神々が宿る聖地として重要な場所でした。18世紀以降は上流階級が集う高級リドート地として繁栄し、ジョージ王朝時代の歴史的な建物が長い歳月を経て、そのままに保全されています。街全体が世界遺産に登録されており、景観保全・高さ制限など厳しい規制があり、統一感ある街の雰囲気や街並みが今でもそのままに見事に維持されています。しかし、お店自体は素敵な洒落たブランド店が入り、近代と過去が融合した心休まる空間を創り出しています。2000年も前、遠くローマから辺境の地に来て、サウナや温泉、スパ、マッサージ、岩盤浴、水風呂などを楽しんだのです。人間の英知は進化の歴史だといいますが、昔の人の方が人間らしい、心休まる、自然と融和した豊かな生活を過ごしていたのではないかと感じました。「水の街・三島」も世界遺産の街です。水の街としての資源に、さらに付加価値を付け、発展させていく、街づくりが唯一の活性化の道だと確信しました。この浴場もかつては、埋もれてしまっていましたが、19世紀末の発見を契機に、復元して、観光振興の柱にしたのです。地域振興の原点・原動力は、その街・固有の歴史的文化的価値を利活用することだと思います。

  

  

 

 また夜にはロンドンでの最大の楽しみであるミュージカル鑑賞。今回は「スリラー・ライブ」を楽しみました。マイケル・ジャクソンの数々の大ヒット曲が、ジャクソンファイブ時代から時間軸を追って、懐かしい歌と踊りが続きます。とにかく、ダンサーたちの躍動感は力強く、全身全霊でマイケルが歌に込めた思いをリズムに乗った踊りとともに表現しています。英国の誇りであるミュージュカルは、こんなに楽しく、芸術的なものだ、お客よ、充分に楽しませてやるぜ的な雰囲気で一体となって乱舞していました。マイケルに酷似しているダンサーのムーンダンスも見事で、マイケルの幻想を見ているようでした。その後は、ホテル横にあるパブでラガーを2杯。心躍る興奮の後の冷たいビールは格別です。東街区に日本を代表する国際的なミュージュカル劇場ができないかと整備構想を提案中です。若い人たちに夢と元気を与える仕掛けがなければ、街は成長・発展しません。高層マンションからは、芸術的・文化的な発展は望めません。10年以上続く、スリラー・ライブ、ほぼ毎日、満員です。三島から、東街区から、世界に発信できるものを目指すべきです。さあ、今夜も観劇だ?

 

 

  

 

8日目:9月16日(ロンドン)

 9月16日は自由行動の日です。私はゆっくりと起き、仕事と頭の整理をして、ホテルから徒歩で15分、ロンドン大学の隣にある「大英博物館」の見学に行きました。世界中から集めてきた、持ってきた「世界の宝物」が数多く展示されています。エジプトのロゼッタで発見された碑文・ロゼッタストーンが、まず入口正面に置いてあります。とにかく古代エジプトの石像が沢山展示されていますが、その緻密さと精巧は人間業を超えています。2000年以上前の古代人は、現代人よりもはるかに、土木技術やインフラ整備力、芸術的なセンスと特殊技術に優れているなと感じました。世界中から観光客が押し寄せて、博物館内は盛況でした。街づくりの柱に、芸術・歴史的な施設の有機的な仕掛けとして、美術館巡り・城巡り・庭園巡り・川巡りなども、人集めの拠点・誘導力になると確信しました。午後は、ハードロックカフェで本年度版のTシャツを購入して、ラッセルスクエアの個人寄付のネームプレート付きの椅子に座り、ひと時、今後の三島を創りかえる戦略と戦術を思考しました。静かな時間は自分を冷静に見つめ直す、良き機会になります。都会の真中ですが、公園内は喧騒も聞こえません。潜在力を溜めて帰国後には全力疾走です。明日はパリに向います。

 

 

 

 

9日目:9月17日(ロンドン~パリ)

 9月17日はロンドンからパリにユーロスターに乗っての移動日です。ホテルに着き、私の友達の大慈弥さんを通して、偶然・突然知り合った影山浩子さん宅での勉強会・交流会です。パリの夜の街中の洒落た雰囲気を、歩道での食事会で満喫できました。

 

 

 

 

 

10日目:9月18日(パリ)

9月18日のパリでの研修は自由行動です。私はこんな感じて一日パリ市内を16000歩も歩き回りました。パリの放射線状に広がる区画と均一で統一感ある石造りの都市計画、すべてナポレオンが指示して造られたものです。ある場所だけの集中的な整備は、街づくりではなく、地域振興も商店街の活性化も望めません。道路上に設置されたカフェは、人々のに憩の空間を提供し、旅人と地元住民のお休み処として活用されています。素敵な街並みと文化的・歴史的な雰囲気、ほっとする緑の空間、多様な街の要素が有機的に結合して魅力的で、平面的。回廊的なパリを形成しています。三島駅東街区での一点集中型の街づくりのやり方は、パリでもロンドンでもバーミンガムでも陳腐です。高層マンションと商業施設を駅前に建設して、地域が潤う根拠がパリの街づくりのコンセプトを考えた時に、まったく見つかりませんでした。豊岡市長は、三島市に年間700万人も来訪していると豪語していますが「ヴェルサイル宮殿」も年間700万人が世界中から訪問しており、一日当たり、約2万人の観光客で長い待ち時間が続いています。当然、市長が豪語しているように、三島も一日当たり、約2万人の観光客が三島を訪れて「ヴェルサイユ宮殿」と同じですが、これは「嘘」の羅列であり、市内には空き店舗や空き家、空き地が急激に増加しています。市民の皆様も現実的な数字に気が付いてください。「ヴェルサイユ宮殿」に、午後から行ったら2時間以上の待ちです。これが、一日約2万人来る実態です。以下の各種の写真から、本日、私がどこに行ったかお分かりですか。明日は帰国です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2018年度英国スタディーツアーまとめ

 本年度の英国スタディツアーは、9月8日から9月20日までの13日間、英国のロンドン・バーミンガム・コッウオルズ・オックスフォード・ブライトン・バースとフランスのパリを訪問、研修しました。全体を通しての感想は、どこも、その地域の歴史的・文化的な固有施設や街を変えずに、手を付けず、そのまま観光資源・商業的振興資源として最大限に活用して成功していることです。三島が持つ水と緑の環境資源や歴史文化資源を的確に保全し、そこに新たな魅力を付加して、街の付加価値の向上を図っていくことと類似していると感じました。グラウンドワーク三島が、この25年間にわたり進めて来た、歩いて楽しい「回遊性」ある平面的な「湧水網都市づくり」が、世界的都市のロンドンやパース、ブライトン、そして、ナポレオンが造ったパリの街づくりのコンセプトと重なり、世界的なレベルで比較しても優れていると確信しました。一番、感動したのは、オックスフォード近くのタックリー村で実践されている「コミュニティショップ」です。限界集落化し疲弊した村を普通のおばちゃん・バーバラさんが立ち上がり、住民が資本家・投資家となり資金を集めて「村の会社」を起業しました。地域のお店、郵便局、パブ、高齢者施設、保育園、市民農園などを開店させ、住民要望に沿った利便性の高い地域サービスを創り上げ、崩壊寸前の村を再生させました。このコミュニティショップは英国内で150地区も生まれ、住民自身が地域経営を担う主役になり、魅力的な地域を創り上げていけることを見事に実証していると実感しました。地域を創り上げる主役は、住民・市民であり、市長や行政、企業ではありません。三島は市民力と地域力を結集して、今の街を創り上げたのです。市民に寄り添わない、強引で一方的な東街区での高層マンション計画は絶対に阻止・中止させなくてはと固く覚悟した旅行でもありました。とにかく、フッフェル塔に徒歩で階段を登り、疲れました。少し静養して、西街区の豊岡武士三島市長を被告にした、裁判に全力で取り組んで行きます。

 

  

 

  

 

  

 

 

 

 

 

 

2019/1/21 17:53 ( 環境教育・視察研修 )
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