3/16・17 グラウンドワーク三島設立20周年記念シンポジウム

2013/3/20 0:00 投稿者:  gwmishima

 1981年に英国で誕生した環境改善運動の「グラウンドワーク」が、静岡県三島市ほかを「モデル実験地」として、1992年に日本に初めて導入されました。以来、グラウンドワーク三島は、市民・NPO・企業・行政とのパートナーシップによる実践的・創造的な市民活動をとおして、「水の都・三島」の原風景・原体験の再生・復活に取り組んできました。

 
 ドブ川と化した源兵衛川の水辺再生、市内から姿を消したミシマバイカモの復活、荒れ地のミニ公園化、遊水池の環境教育園化、学校ビオトープの建設、コミュニティ・ビジネス等、活動の実践地は市内外53箇所に広がっています。これらの多様な取り組みにより三島市には多くの観光客や視察者を迎えることとなり、「環境再生」が「地域(経済)再生」へと、さらには「人材育成」、「被災地支援」へと発展しています。また、欧米、アジア、アフリカ等海外の環境団体、まちづくり団体との技術交流や人的交流など、地域の草の根の活動をベースとしながら、グローバルな活動へと展開しています。
 
 
 このように、グラウンドワーク三島は、広範な関係者の参画を得る中で、国内外へのネットワークの輪も広がり、2012年9月をもって20周年を迎えることができました。今回、これまでの取り組みやノウハウ、今後の方向性等について学び、考える「20周年記念シンポジウム」を、3月16日・17日に開催しました。
 
 
■1日目:2013年3月16日(土)
 
●午前:実践地視察(希望者)
 小松幸子理事長、渡辺豊博専務理事、越沼正評議員の案内で、松毛川をはじめ、源兵衛川、三島梅花藻の里、三島街中カフェを視察しました。
 
 
 松毛川では、富士山を眺めながら、狩野川の原風景である河畔林の保全に向けた取り組みを視察しました。
 
 
(松毛川河畔林沿い)
 
 
 続いて、三島梅花藻の里、雷井戸、源兵衛川中流部〜上流部を実際に歩いて回りながら、清流のシンボル・ミシマバイカモの保護・増殖活動や、グラウンドワーク三島の活動の原点である源兵衛川の水辺再生活動について視察しました。
 
 
(三島梅花藻の里)
 
 
(雷井戸)
 
 
(源兵衛川中流部)
 
 
 
●午後:記念セレモニー、記念講演
 会場の日本大学国際関係学部三島駅北口校舎の1階山田顕義ホールには、御来賓、グラウンドワーク三島の参加団体や会員などの関係者をはじめ、国内外から約160人にお集まりいただきました。
 
 
 記念セレモニーの冒頭では、小松幸子理事長より開式の挨拶をさせていただきました。
 
 次いで、先月末にご逝去された緒明實名誉会長へ黙祷を捧げ、渡辺豊博専務理事から、緒明名誉会長との20年間の思い出を、活動写真のスライドで説明させていただきました。会場の入口には、名誉会長の活動写真や表彰状等の展示コーナーも設けました。
 
 
 
 
 
 続けて、豊岡武士三島市長、千賀裕太郎東京農工大学院教授、英国グラウンドワークオールダム&ロッチデール元所長のロビン・ヘンショウ氏、バーミンガム大学客員講師の小山善彦氏、諏訪部敏之三島商工会議所会頭、山形武弘三島市観光協会会長から御祝辞を賜りました。また、細野豪志衆議院議員など多くの方々からの御祝電を披露させていただきました。
 
 
 
 
 次に、グラウンドワーク三島の活動を20年間にわたり支えてきた仲間たちを紹介させていただきました。三島ゆうすい会、三島ホタルの会、源兵衛川を愛する会などの参加団体メンバーや関係者に登壇いただき、小松幸子理事長より感謝状を贈呈させていただきました。
 
 
 
 贈呈後は、お一人ずつから、これまでの活動の振り返りと今後の抱負についてお話をいただきました。多くの方々の熱い思いが、グラウンドワーク三島の活動の基盤となっていることが伝わってくる素敵な式となりました。
 
 
 
 また、今年度、復興支援型地域社会雇用創造事業で、被災地での社会的起業家と人材育成に共に取り組んできたNPO法人フェアトレード東北の布施龍一代表、今回のグラウンドワーク・インキュベーション事業での起業支援対象者のふれ・愛キッチン(宮城県東松島市)の石森こと美さんのお二人から、被災地からのメッセージをいただきました。渡辺専務理事からは、来年度以降も、被災地の子どもと女性の支援を継続して進めていきたいとの話もありました。
 
 
 
 記念セレモニーの最後は、若生りえさん(ボーカル&フルート)とるいるいさん(キーボード)によるユニット、ムーン・リバー・ウォーカーズによる交流コンサートです。富士山の応援歌である「富士山だ(阿久悠作詞)」などを熱唱いただき、会場は大いに盛り上がりました!
 
 
 
 
●午後:記念講演「英国グラウンドワークとグラウンドワーク三島の20年」
 英国グラウンドワークオールダム&ロッチデール 元所長 ロビン・ヘンショウ氏とバーミンガム大学客員講師の小山 善彦氏に、「英国グラウンドワークとグラウンドワーク三島の20年」をテーマに講演いただきました。お二人は、グラウンドワーク三島の設立時から20年間にわたり、指導やアドバイスをいただいてきた方々です。1992年のイギリス視察時の懐かしい写真から、英国グラウンドワークの最新事情まで、幅広くご講演いただき、参加者も真剣に聞き入っていました。
 
 
 
 
●夕刻:大交流会・GWインターンシップ/インキュベーション同窓会
 シンポジウム参加者やグラウンドワーク三島関係者など約80人が参加しました。豊岡武士三島市長などにご挨拶いただいた後、小浜修一郎理事の発声で乾杯となり、にぎやかにスタートしました。
 
 
 
 三島駅北口校舎の7階ラウンジからのすばらしい眺望も楽しみながら、各所で話に花が咲いていました。

 

 

2日目:2013年3月17日(日)
 
●午前:全体討論会
 前日に引き続き、日本大学国際関係学部三島駅北口校舎にて開催しました。下記の4テーマについて、話題提供者とコメンテーターにご登壇いただきました。
 専務理事の渡辺 豊博が全体コーディネーターを務めながら、グラウンドワーク三島の今後の活動についての意見交換を進めました。
 
 
 
 
テーマ1「地域資源をいかした被災地・地域でのNPOビジネスの可能性」
話題提供者:
NPO法人フェアトレード東北代表 布施 龍一 氏
ふれ・愛キッチン(宮城県東松島市) 石森こと美 氏
(グラウンドワーク・インキュベーション起業支援対象者)
NPO法人夢未来くんま副理事長 大平 展子 氏
グラウンドワーク三島三島街中カフェ 代表 勝亦 洋子
コメンテーター:
NPO法人パブリックリソースセンター理事・事務局長 岸本 幸子 氏
 
テーマ2「地域における実践的環境教育のあり方」
話題提供者:
富士常葉大学非常勤講師 加須屋 真 氏
環境カウンセラー 山口 康裕 氏
源兵衛川を愛する会 事務局長 越沼 正 氏
三島ゆうすい会 会長 塚田 冷子 氏
NPO法人グラウンドワーク三島理事長 小松 幸子
コメンテーター:
富士常葉大学非常勤講師・富士山自然誌研究会代表 菅原久夫 氏
 
テーマ3「NPO・社会的企業による国・地域づくり」〜国際的な事例に学ぶ〜
話題提供者:
バーミンガム大学客員講師 小山善彦 氏
英国グラウンドワーク オールダム&ロッチデール 元所長 ロビン・ヘンショウ氏
金沢大学地域連携推進センター 准教授 松下 重雄 氏
コメンテーター:
一般社団法人日本グラウンドワーク協会専務理事・東京農工大学大学院教授 千賀裕太郎 氏
 
テーマ4「地域課題解決のための多様なノウハウを学ぶ」〜グラウンドワーク三島の潜在的パワーの源泉とネットワークとは〜
話題提供者:遊水匠の会代表 小浜 修一郎 氏
コメンテーター:渡辺豊博
 
 
・午後:設立20周年記念シンポジウムの総括とグラウンドワーク三島の今後の活動への提言
 
 午前の全体討論会のまとめと、グラウンドワーク三島の新たなネットワークづくりについて議論を進めました。
 今後の活動提言としては、全国各地の起業家やNPOをつなぐ「グラウンドワーク起業者ネットワーク」の発足、台湾など東アジア地域でグラウンドワーク活動を広める「東アジアグラウンドワークセンター」の新設などを掲げました。
 グラウンドワーク三島には、毎年2,000人近い視察者が国内外から訪れています。また、平成22年度から3年間にわたる(復興支援型)地域社会雇用創造事業のインターンシップ研修により3,000人近くのNPOやグラウンドワーク関係者が、多様な地域協働の現場モデルを体験・視察しています。今後も、起業者への継続的な支援を進めていくことを提言しました。
 また、三島市での活動目標として、今後10年間で環境改善の実践地を100箇所にすること、専門学校と連携した教育活動の展開などを掲げました。
 
 
 
 
 グラウンドワーク三島では、今後も引き続き、「水の都・三島」を拠点として、環境再生・地域再生・人材育成、被災地支援、またグローバルな活動を着実に進めていきます。
 皆様のご支援・ご協力を宜しくお願い申し上げます。
 
その他 )
GW三島設立20周年記念シンポジウムにて
GW三島設立20周年記念シンポジウムにて
地図

住所静岡県三島市文教町1-9-18