グラウンドワーク・インターンシップII期集合研修B日程3日目

2011/2/27 0:00 投稿者:  gwmishima
 B日程3日目は、座学です。本日最初の講義は、英国より小山善彦氏(バーミンガム大学公共政策学部)。グラウンドワーク・インターンシップエキスパートコース研修生は、先日の英国マネジメント研修以来の再会です。
 
 『英国における「公共」担い手の多様化』という題で講義がはじまりました。英国では、チャリティ団体が古くから存在し、主要チャリティ団体の中には1800年代に設立されたものもあるという話とその数の多さにまず驚かされました。チャリティ団体の形成にはまず、個人の意識や考えが重要。同じ思いや考えを持った人がグループを形成し、チャリティ団体が認定により形成され、これに投資家や公共サービスがかかわることによって、社会的企業が形成されるという形成過程も興味深いお話でした。
 
 
 グラウンドワークは、英国が発祥の地です。講義後半部分では、英国グラウンドワークの実践例が紹介されました。火力発電所に使った石炭のボタ山の処理活動では、環境が回復しただけでなく、それによりクラブなどの新組織も生まれるなど、一つの環境改善活動が大きな好影響を及ぼした例として紹介されていました。
 
 
 グラウンドワークに取り組む前と後では風景が全く異なり、とても同じ場所だとは思えない風景写真が数多く示され、改めてパートナーシップの持つ力を知りました。また、この講義の中で英国でのグラウンドワーク活動が、イギリス国内の衰退している地区でほとんど行われているという話も聞きました。あえて困難さに挑戦するその姿勢もまたパートナーシップという仕組みがあるからこそだと思います。
 
 最後の20分は、質疑応答。イギリスと日本のチャリティに対する意識の違い、イギリスでのコミュニティ参加意識はどのくらいかなど、数多くの質問がありました。講義後に個人的に質問に行く研修生の姿も見られました。
 
 
 休憩をはさんで、次に『英国における社会的企業の成長』という題で引き続き小山氏による講義が行われました。チャリティ団体から社会的企業に組織転換が進む背景や社会的企業の形態について話が続いた後、英国国内の社会的企業の紹介がありました。大きなプロジェクトや企業の話もありましたが、地域の身近な問題に取り組む社会的企業の紹介もあり、また、その種類も多様でした。
 
 午後最初の講義は、北岡和義氏(日本大学特任教授)の『ボランティア精神と起業精神』から始まりました。人類が抱える3つの課題というグローバルな問題、「自分の履歴書を自分で書く」をキーワードにしたベンチャースピリットの大切さと重み、ボランティアは何のためにするのか?という問いかけ、どれも研修生にとって考えさせられる内容だったように思います。
 
 
午後2番目の講義は、鷹野秀征氏(NPO法人パブリックリソースセンター 理事)による講義『社会的起業の役割とは』。公共の担い手としてこれまで、ボランティア、市民活動団体、NPOがありましたが、新たな社会的課題に対して社会的事業・社会的企業が現在注目されています。この講義では、NPOや社会的企業の役割として共通している部分、異なる部分が分かりやすくお話されていました。実際に講義の中で紹介された社会的企業は、どれも近年立ち上がったものですが、アイデアに溢れ、課題に正面から向き合っていました。
 
 
 午後3番目と最後の講義は、引き続き鷹野氏『社会的企業を立ち上げよう1』『社会的企業を立ち上げよう2』という題で行われました。ここでのキーワードは、「ミッション」。社会的企業やNPOが、何のために、どのようなことを行うのか、どのようなことに貢献するのか、なんのために仕事をするのか、どの点に自分の強みがあるのかなどを書き表すことから始まります。この過程の中で自分の周囲の関係者をリストアップしてそれぞれのニーズや資源の把握と分析を行うことが重要という話がありました。この講義で今回の研修日程の座学は終了です。明日からは、ビジネスプランの作成に入ります。
 
 
 

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