灰塚川(松毛川)は、沼津市と三島市の市境に位置する、狩野川の旧河川敷です。昭和初期の堤防工事によって、本川から切り離されたことにより、全国的にも珍しい三日月形の「止水域」が形成されました。
以降、狩野川の原風景や原自然が守られ、多種多様な樹種や動植物が生息する貴重な「河畔林」が残されましたが、近年、上流部からのゴミの流入や産業廃棄物の投棄、放置竹林の拡大、巨樹の倒木や枯死などによって豊かな自然環境が傷付き始めていました。
これを受けてグラウンドワーク三島では、2005年頃より、流域住民や愛護組織「松毛三日月会」等との協働により、河畔林再生保全活動に取り組んできました。
2016年11月からは、左岸・沼津市大平側の中流部の再生活動に着手し、放置竹林の間伐・チップ化、清掃活動等を5回にわたり実施してきています。
2017年1月21日(土)と22日(日)、灰塚川(松毛川)の「千年の森づくり」を着実に前進させるべく、左岸(沼津市大平)の中流部の荒廃竹林の伐採・チップ化、重機による植樹地再生整備作業、植樹などを実施しました。
都留文科大学の学生、グラウンドワーク三島インストラクター、市民ボランティア等、延べ40人が参加しました。
参加者は、まず、活動初期の植樹地の河畔(川側)に繁茂した放置竹林の伐採作業に取り組みました。植樹から8年程度が経過し、植樹木は2m以上に成長していますが、川側に竹が繁茂しており、日照を遮っていました。
エンジン刈払機を入れることができないほど密集している放置竹林の伐採は、やはり人力によるしかありません。参加者は、竹挽鋸をそれぞれ手にして、窮屈な竹林の中に入り込み、伐採と切り出した竹を運び出す作業を延々と続け、2日間で100mほどの既植樹地の川側の放置竹林伐採を終了させることができました。
(放置竹林の伐採・運搬)
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作業前の河畔(放置竹林) 作業後の河畔
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作業前の河畔(放置竹林) 作業後の河畔
また、伐採した竹は、竹破砕機(チッパー)を使って破砕しました。出来上がったチップは、山積みとしておくことで内部から発酵が始まり、数か月も経てば良好な肥料になります。昨年からの作業で既にチップ化されたものも含めて、最終的には胸の高さほどまである竹チップの山が3~4つもできました。
これらの竹チップは、今後、植樹地の堆肥として必要不可欠なものになっていきます。
(竹破砕作業)
並行して、重機による植樹地整備作業を実施しました。昨年から放置竹林伐採に取り組んできた河畔約50m区間を、バックホウで抜根・整地しました。あわせ、土中から出てきた大量の不法投棄ゴミの回収も行いました。
(植樹地整備作業)
(不法投棄ゴミの回収作業)
最後に、2日間の活動の締めくくりとして、植樹を行いました。参加者は、スコップで穴を掘ったのち、エノキ、クヌギ、スダジイ、アラカシ等の潜在自然植生の苗木30本を植え、その隣に添え木を打ち込んで固定しました。その後、熟成した竹チップを苗木の根元にすき込み、土をかけて水遣りを行いました。
(潜在自然植生の苗木の植樹)
こうして、灰塚川の千年の森づくりを前進させる、小さな林ができました。今回の参加者の都留文科大学の4年生の学生は、今春には全員が社会人となります。卒業記念の意味も加えた植樹だったわけですが、それだけにみんなそれぞれの思い入れがあったことでしょう。
いずれ彼らが一人前の社会戦士となるころには、この林も立派な森になっているに違いありません。
2日とも晴天に恵まれた中での作業でしたが、2日目は伊豆特有のからっ風の中での作業となり、すべてを終えるころには全員がヘトヘトに。しかし、見事に出来上がった植樹地を見るにつけ、それぞれの顔には満足感から来る笑みが浮かぶのでした。
みなさん、大変お疲れ様でした。
(1日目の参加者の皆さんと集合写真)
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