グラウンドワーク三島、三島ホタルの会、源兵衛川を愛する会では、このたび、三島市長と中郷用水土地改良区理事長宛に、「第38回三島の川をきれいにする奉仕活動」における源兵衛川の清掃活動の「中止」のお願いの文書を提出しました。
源兵衛川は、多くの市民や団体による水辺自然環境の改善・再生活動によってかつての清流がよみがえり、今では、絶滅危惧種のホトケドジョウや清流のシンボルであるゲンジボタルが生息する、三島市を代表する「環境再生」と「観光振興」の象徴として国内外から高い評価を受けています。また、平成28年11月には「世界かんがい施設遺産」に登録、平成30年1月には「世界水遺産」に登録されました。
当法人では、生態系の専門家との協働により、11年以上にわたり「環境モニタリング調査」を実施し、魚類や水生生物、鳥類、植物、トンボ類などについて、生態学的な見地からの専門的な分析・評価を行ってきました。また、ホトケドジョウやゲンジボタルなどの生息環境を人為的に創出するために、年間数十回もの「環境再生ワンデイチャレンジ」に取り組んできています。
なお、毎年、中郷用水土地改良区との役割分担を前提として、上・中・下流部の各区間において、外来動植物の除去、在来植物の移植、堆積土の排除による通水の確保、ワンドの造成等の作業を、10回程度実施して、生物多様性の保全活動を進めてきています。
これらの効果により、5年前からは、5月上旬から6月中旬までのゲンジボタルの総飛翔数が、平成26年の1,232匹から平成29年の2,078匹と約846匹も増加しています。これは、河川一斉清掃を「中止」したことで、飛翔直前のゲンジボタルの生息環境が荒らされなかったことや、「環境再生ワンデイチャレンジ」の効果により、源兵衛川の上・中流域において、生息・繁殖環境が整い、個体群が安定・維持されているものと判断できます。
しかし、さらに本来の源兵衛川の豊かな生物多様性を確保するためには、ゲンジボタルの生息場所の保全やホトケドジョウの繁殖・生息に適した水辺環境の改善や造成など、持続的な水辺のエコアップが必要とされております。
そこで、「第38回三島の川をきれいにする奉仕活動」における、源兵衛川の一斉清掃活動につきましては、下記の趣旨をご理解の上、「中止」をお願いしたものです。
詳細は、添付文書等をご参照ください。
■要望の趣旨
1.ホトケドジョウが繁殖する時期と、ゲンジボタルの幼虫が川辺の土中で羽化を待つ時期にあたる3月から6月に、源兵衛川に多くの人々が入り、河川内を歩き、ヤナギモなどの流水中の水草を除去することは、生き物たちに大きな環境負荷を与える危険性が想定されることから、平成30年5月13日(日)に実施される源兵衛川の清掃活動につきましては、第2ゾーン・水の散歩道から、第6ゾーン・温水橋(一本松バス停付近)までの区間に関わる清掃活動については、川の中には入らず、目視のみの確認とされるように、お願い申し上げます。
2.今後、源兵衛川の清掃活動については、グラウンドワーク三島の責任において、源兵衛川流域の自治会の皆さまのご協力を得ながら、ホトケドジョウの繁殖期やゲンジボタルの産卵・孵化期が経過する、7月下旬以降に数回以上実施いたします。
■依頼文書等
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